珍しく、視覚的な要素の少ない夢を見た。
夢のなかで、わたしは数人の女性歌手、1人のバスかバリトンの歌手、それに1人のチェンバロと1人のリコーダー奏者と一緒に、ゲームのBGMを合唱で表現する練習をしていた。
曲目はファイナルファンタジーIIIの「禁断の地エウレカ」。
ファミコン版
DS版
女声がコーラスでメロディを「Sha-la-la-la-la-」と歌う。
そのコーラスは、うっとりするほど官能的。
官能と表現したのは、綺麗や技巧だけでなく、背筋がしびれるほどのツヤとテリを感じたから。
力強くてしなやか、熱せられたガラスのように引き伸ばされるとなめらかに反応するが、その姿を空中にとどめる。
2、3人しかいないはずが、耳元では大合唱のように響く。
完璧なシンクロをしているのだろう、単でも多でもなく、「一体」になっている感じ。
わたしはテノールとして女声のメロディの底部で「ha, ha, ha, ha,」というような伴奏形を歌っていた。
最初は合唱だけの練習、バスの男性歌手が2か3コーラス目でボイスパーカッション的な演出で参加。
ボイスパーカッションといってもラップ的な“ドラムセット”ではなく、ティンパニの潤った音とスネアドラムの高く響く乾いた音を出すようなドラミングだった。
水平に広がっていた合唱のサウンドは、見上げるような垂直の響きを得た。
男性歌手はドローン音的な伴奏に変わった。空間にさらなる奥行きが出た。
次はアルペジオを鳴らす器楽が加わって、この曲は全体像を現した。
アルペジオは細かいが、音符は綾のようにつながっているので、うるさくない。
驟雨のようなムラのない音。大きな綿のかたまりのようなリコーダーとチェンバロの音。
はじめは極めて小さい声で、しだいにフルボイスへ。
なんて気持ちのいい練習なのだろうと感じた直後、目が覚めた。
夢をみるのは明け方のことが多いのでもう朝かと思って時計を見たら2時前だった。