2007年8月1日

「白昼の意識は、しばしば夢の論理以上に独断と偏見に満ちている」
「できれば名無しのままで済ませたいと思う」
「創作ノートは覚めて見る夢。必要なことはメモしようとする心構え」
「ルイス・キャロルは存在しない少女を愛してしまったがために、ポートレート撮影に凝ったのではないか」
「シャッターを押すことで、世界の部分を手に入れる手形にサインした気になれる。その瞬間の自己欺瞞が楽しいのだ」
「弱者への愛には、いつだって殺意がこめられている」


安部公房


20070217
「小鬼たちが手を振って別れを告げる。なんとなく盛り場の終業時間の路地裏を思い出していた。
立ち去る客には、非日常的な歓楽の終わりの告知。見送る女たちには、うんざりするほどの日常の反復の儀式。」

『カンガルーノート』


20070216
人間自身よりも、身に付けている小物に関心が強いのは、孤独の証拠なのだ。


『ローマ人の物語』


20070216
多くの人は、「見たいと思っていること」しか見ず、見たくない現実からは目をそらしている。

カエサル

『ローマ人の物語』


20070215
義務について(デ・オフィチス)
 
あらゆる人間愛の中でも、最も重要で最も大きな喜びを与えてくれるのは、祖国に対する愛である。
父母への愛の大切さは言うまでもないくらいに当然んであり、息子や娘たち、親族兄弟、、そして友人たちへの愛も、親愛の情を恵んでくれることで、人間にとって大切な愛であることは誰でも知っている。
だがこれらすべての愛ですらも、祖国への愛にふくみ込まれるもとなのだ。
祖国が必要とするならば、そしてそのために起ってほしいと求めるならば、祖国に一命を捧げることに迷う市民はいないであろう。

キケロ
 
 
『ローマ人の物語』

20070214
キケロ、カエサルの文章を評して

「品格が高く、光り輝き、壮麗で高貴であり、なによりもまず理性的である」

文章で大切なことは「論理的で緻密。そして他人に伝え、わかってもらいたいという情熱と意欲。


『ローマ人の物語』
ルビコン以後

20070214
治安と清掃は、そこに住む人の民度を計るもっとも簡単な計器である。


『ローマ人の物語』

20070214
人気取りの為に作られた政策は国庫への負担となるばかりか「タダでもらえるものはもらえ」という庶民のモラルの低下をもたらす。
庶民は「お得」で利があるほうになびくものだから。
案外、「本当は困っていない」庶民から既得権益を取り上げても、不満はでないもの。


『ローマ人の物語』

20070213
「孤独」は「創造」を生業とする者には一生ついて回る宿命。
だがそれを嘆いてなどはいられない。
時間的精神的余裕そのものが、そもそもない。
周囲の無理解を嘆くには費しない。


『ローマ人の物語』


20070212
真の貴族性とは

  • 自身の優越性への確信
  • 怒りや復讐は自分の精神を他者の次元まで落としてしまうことにほかならない
  • 倫理や道徳の問題ではなく、自分と他者を同質視しないということ


『ローマ人の物語』

20070212
図にのる、とは。

以下の構図。

  1. 信頼の増加
  2. 親密度の増加
  3. 「甘え」への変質
  4. 「図に乗る」現象



20070210
方式(Method)とは誰が踏襲しても一定の生家が得られる普遍性のある方法。

カエサルの手法はMethodにならない。
状況に会わせて勝つ戦法を考えるからである。

『ローマ人の物語』


20070211
 
戦略的な失敗であっても、その責任があえて部下にあると所在をはっきりさせる。
人間は気落ちしている時に「お前の責任ではない」と言われるとホッとして、再起に必要なエネルギーを自己生産できなくなる。
指揮者の判断待ちという消極性に陥る。
(カエサルは)敗戦責任を明確にすることで、再起を促した。
「恥」じた兵士は再起を決意した。

『ローマ人の物語』

20070211

士は己を知る者のために死す。
すなわち、忠誠心とは、一点の曇りも部下に与えずにおけるかどうかで引き出せる。


20070210
テクノクラートとは

テクノクラート
政策に関与できるレベルの技術者。技官。技術官僚。
国力増大のための政治と科学の協力の際に活躍する人種。


20070209
 

人間を誰でも金で買えるとは、自分自身も金で買われる可能性を内包する人の考えることである。
非難とは、品案される側よりも、非難する側を映し出すものである。


『ローマ人の物語』


20070209
貧富の差は「私有地」(私有財産)を認めるから発生するのである。
格差が呼ぶのは、社会不安と金銭への執着である。


『ローマ人の物語』


20070208
正確に書く、とは、正直で公正あること。


『ローマ人の物語』


20070209
カエサルは復讐はしない。ただし、兵士の復讐心は活用する。
活用する者は、醒めていなくてはならない。燃える感情は、理性の制御を振り切って暴走するからである。


『ローマ人の物語』

20070208
カエサルは定員割れした軍団にも新兵を補充しなかった。

軍団単位での帰属意識の向上を行った。
帰属意識が高まれば、誇りも生まれる。
そうした軍団内部の同質性を重視した。

『ローマ人の物語』

20070208


野心とは何かをやりとげたいと思う意志。虚栄とは人々に良く思われたいという願望。

  • 野心
    • 他人に良く思われなくても、やり遂げなくてはならないという想い

  • 虚栄心
    • 他人に良く思われたい心

『ローマ人の物語』


20070206


カエサルの文章を評して
『簡潔、明晰、この上なくエレガント』
塩野七海



20070207
「カティリーナの陰謀」に対するカエサル

  • 疑わしいことに決定を迫られた際、記憶や友情や怒りや自費はひとまず忘れて対するのが正当な対し方である。
  • 理性に重きを置けば、頭脳が主人になる。だが、感情が支配するようになれば、決定を下すのは感性で、理性の立ち入る隙はなくなる。
  • 人々は刑罰について論議する時は、罪の本質を忘れ、刑罰そのものが重いか、軽いかしか考えなくなる。
  • どんな悪い事例とされていることでも、それがはじめられたそもそもの動機は、善意によるものであった。

『ユリウス・カエサル ルビコン以前』
「生き残るために鼻がきく」
サバイバル術の最も大切な要素は勘。
「どちらとも言わない(明言しない)、上層部についてはそれが肯定なのか否定なのか、勘を働かせなければならない。
無言の要求に察しがつかないものは、消されてしまう」


『裸の独裁者サダム』


20070202
「汚職を減らそうと思って党員から、新人でまったく何にも染まっていない人物を抜擢しようとしたんだ。
党のメンバーなら役人たちより正直だろうと思ったからだ。
しかしひと月も経たないうちに、新しいブラシも古いものと同じようにひどく汚れてしまい、汚職に染まると気付いたよ。


『裸の独裁者サダム』
p321

20070201
「問題は重要な地位にぴったりの人材をどうやって見つけるか、ということだよ。
私は自分の大臣たちがとりたてて有能でないことを知っている。
彼等には、とくに知性があるわけでもない。
バース党のリーダーたちについても同じことが言える。
たとえば彼らと会って、さまざまなややこしい問題を解決するために話し合うとする。
すると自分が何について話しているのか、彼らに理解させるためにだけに、果てしない時間を費やさなくてはならん。
連中の表情を観察していれば、彼らが何も理解していないことはすぐわかる」

『裸の独裁者サダム』

20070201
イラン '99
ナショナルジオグラフィック

腐敗した王制時代の高官と同じように、高位聖職者は腐敗している。
一族への富の収集。国民はうんざりしている。

すでにイラン革命を知らない世代が社会の中で多く登場している。
イラン革命にとって、教育、ライフラインは大きく整備された。

原理主義は法にも習慣の中にも色濃く残っている。
外面的な服従と、内面での不服従。
イラン人の複雑な心理。
 

20070131
evidence とは

anything that gives reason for believing something.
証拠


20070131
大正時代の職業婦人

代表的な職業婦人
「ガソリンガール」給油所のスタッフ
「市バスの車掌」(大正13年〜)
「電話交換手」
「デパート店員」
「記者」
 
知日派、タフト大統領(27代・米)

「美しい国土とと勤勉で忍耐強い国民」
「日本と良好な関係を持つことは文明国に必要なことだ」



コンビニの原点は「行商人」
「生」とは。

「何だってすべてを壊し、すべてを移ろわせ、すべてを流転の中へ委ねねばならぬといふ変梃な義務が我々一同に課せられているのであろう。こんな不快きはまる義務が世にいはゆる「生」なのであらふか?」

「少なくともその義務を重荷と感じるのは私だけに相違いなかった」

仮面の告白

20070127

潔癖さといふもの、好奇心には道徳心が

「潔癖さといふものは、欲望の命ずる一種のわがままだ」

「好奇心には道徳がないのである。もしかするとそれは人間の持ち売るもつとも不徳な欲望かも知れない」

仮面の告白

20070128


古典と漢文の素養。それが三島と川端の作家の基礎を形作っていると思われる。
と手塚さんは言った。


20070125
「風よ。龍に届いているか」を読みはじめた。
(20070122)元はHIPPONで連載。94年宝島社刊。
ウィザードリィへの愛情をひしひしと感じる一冊。ウィズへのっ深い愛情に読者は共感できるだろう。
ストーリーはオリジナル版を超越した、たぐいまれなイマジネーション。
ル・ケブレスの山に登攀で登ろうなど、よく思いついたものだと感心しきり。お見事。




「仮面の告白」を読みはじめる。
(20070125)
「紅白の太縄、黒塗りに黄金の欄干、そのひしと閉ざされた金泥の扉のうちにはまつくらな四尺平方の闇があって、雲一つない初夏の昼白中にこのたえず上下左右に揺られ跳梁していいる真四角な空つぽな夜が、公然と君臨しているのだった」
第一章から、神輿の描写

カフカの「失踪者」のタイトルは、文字どおり、法的な特定失踪者をさすドイツ語のままだ。
従来「アメリカ」として知られていたこの作品は、完全な未完の作品となっている。
カール・ロスマンはどこへいくのか。あてもなく大陸を遍歴するロスマン。
大人に入りかけた子供が社会で受けるさまざまな体験を経て、大人へとなっていく様を感じる。

20070119

MET タン・ドゥン「始皇帝」

松竹のMETライブビューイングにて鑑賞。
 
皇帝を讃える国歌を幼なじみの作曲家に依頼。
しかし将軍と結婚するはずの王女が作曲家と恋に落ちてしまう。
新しい国歌はできるが、万里の長城の建設に苦しむ労働者たちの歌を元にしていた。
将軍は作曲家に毒殺され、王女と作曲家は自殺する。
 
主演プラシド・ドミンゴ
演出チャン・イーモウ
衣装ワダ・エミ

瞑想する猿
 
初代チョロ松。
SonyのウォークマンのTVCF。

20070114