2007年12月31日

桐木村の本物の正山小種はこんなに近い武夷山の中でも知れ渡っていなかった。いや、かつてはこれしかなくて、すべての人が龍眼の香りの正山小種を知っていて、飲んでいたのだ。
 
ロンドンでアールグレイの中国茶が作られ、松で燻煙した正山小種がラプサン・スーチョンと呼ばれ、二種類の中国紅茶が残された。
 
しかし、二二代目江さんはアールグレイという中国茶を知らず、九代目のサム・トワイニング氏も一〇代目のスティーブン・トワイニング氏も、この本物の正山小種を知らない。
 
『二人の紅茶王』P233
 
母は私が困難に際しても毅然としていること、そして人生に理想を持つ事を教えた。正直と勇気、嘘をつかないというのが母の人生哲学だった。彼女は私の心にこの三つの必要不可欠なものを焼きつけた。
 
私は盲目的には母の知恵と確実な洞察力を信頼した。ほんの少しでも母の心に苦しみを与えることをするくらいなら、自分の右手を切り落としたいくらいだと思っていた。彼女は自分にとって真実、正直、善良、その他すべての象徴であった。
 
トーマス・リプトン 
 
『二人の紅茶王』P91
生産者自身が健康で幸せでなければ、消費者へ豊かなものは届けられない。
トーマスはいつもそう思っていたに違いない。
 
『二人の紅茶王』P104
 
トーマスはトーマス・リプトン。リプトン紅茶の創業者にして、大衆紅茶をイギリスのみならず、世界に定着させた世紀の商人。
両親はアイルランドの大飢饉から逃れ、イングランドのグラスゴーに移住した難民。小さな雑貨商を営み、その経営哲学は、一人息子のトーマスへ引き継がれた。
 
ほぼ無一文に近い状態からのスタート。丁稚奉公をしながらビジネスの才を延ばした天才的商人、トーマス・リプトン。
常にイギリス上流階級に対し、皮肉的な視線を送りながらも、童心を忘れず、生産者を搾取もしなかった。
 
王室の経済的な難題の解決にも陰で助力。その功績は王室にも認められ、最終的には准男爵の爵位まで得るに至る。


「本を学ぶ」と「本で学ぶ」
 
「本を学ぶ」
本を読み取り、書かれている事を理解し、そこから吸収すべきものがあるかどうかを判断する。
すなわち、得られるものは学問的内容に関する体系的知識。
 
「本で学ぶ」
その本がなぜ書かれなければならなかったのか、を問いかける。
すなわち、ある学問の系統の中で、その本が占める位置と意義について考えてみる。また、教科書を書く事は学問的な問いに挑む事でもある。
 
『系統樹思考の世界』p212 

本を学び、そして本で学ぶ。
これによって知識の獲得に始まる学問的思索の仕方、背景となる世界への道が開ける。
 
 

歴史家は、読者を感動させ納得させるためにエナルゲイア(生き生きと物語る技法)を用いつつ、自分の提示することを真実として通用させるのだ、というのが古典古代の考え方であった。
 
歴史とレトリックの近親性に依拠していた古いパラダイムを剥奪したのであった。エナルゲイアに証拠(エヴィデンス)が取って変わったのである。
 
カルロ・ギンズブルグ『歴史を逆なでに読む』より
三中信宏『系統樹思考の世界』p208

2007年12月26日

推類様式 演繹、帰納、アブダクション(仮説的推論)
 
演繹、帰納:真偽を論証
アブダクション:良否を検証
 
deduction(演繹)
前提となる主張から、別の主張を導く
 
induction(帰納)
観察されてデータ(蓄積された情報)を基に、真である普遍法則が導き出される。
→帰納ははたして有効な科学的推論か?
  • データは完全無欠ではない
  • 背景仮定から完全に中立かどうかは不明
  • データの集積の延長線上に見えて来る普遍法則とは?
 
abduction(仮説的推論)
「結果から原因へとさかのぼっていく推理」
「裁量の説明を発見する」推論方式
 
アブダクションの命名者はチャールズ・S・パース 19世紀の哲学者で記号論の創始者。
 
アブダクションの特徴
  • 真偽は問はない
  • 観察されたデータに基づいて「より良い説明」を与えてくれる推論を相互比較する
  • 対立理論との検証


系統樹思考の世界 -p65
 

2007年12月24日


Epicureanism  エピキュリアニズム 快楽主義


Epicurus エピクロスの説いた倫理

人生の目的は「幸福」である。

「快楽こそが善であり、人生の目的である」

快楽とは?

α 自然であり、かつ必要である欲求

 e.g. 友情、健康、食事、衣服、住居

β 自然ではあるが、不必要ともいえる欲求

 e.g. 豪華な食事、贅沢な生活。過ぎたるは及ばざるが如し

γ 自然ではなく、なおかつ必要でもない欲求

 e.g. 名声、権力

「自然で必要な欲求」のみの追及と、苦痛や恐怖から自由な生活こそ、良き生活である。「平穏な生活」。

それこそが「平静な心(アタラクシア)」である。 
神道と仏教
 

神は在るもの 自然の中の神威、神性。存在論。
仏は成るもの 人間として生きる上での営み。実践論。

2 
神は来るもの 「祭り」=「待つ」。神を迎えること。自然の神聖の到来を待つもの。
仏は往くもの 悟ること、真理へ向かって往くこと、道を進むこと。
 

神は立つもの 立ち現れるもの。立ってやって来る、そして去っていくもの。「祟り」=「立ちあり」。
仏は座るもの 座して瞑想し、悟るもの。座禅すること、涅槃寂静。

神を数える際の単位は「柱」。「座」は仏教の影響。もともと神は鎮座するものではない。
 
祭りと祈り
  • 祭り
    • 共同体が担うもの。集団の結びつきによるもの。
  • 祈り
    • 個人の心と行為の中に現れるもの。
 

2007年12月23日

変化を伴う由来 Descent with modification
ダーウィンが「種の起原」で示した「進化」の同義語 -p17
 
進化的思考 Evolutionary thinking
進化的にものを考えることで、それまで説明のつかなかったことが一幅の絵のように整然とした論になる。 -p18
 
系統樹思考
--何か相互に由来関係があるのではないか、という問いかけ -p24
 
多様性を「系譜」という観点で理解しようとすること -p37
 
科学的であるかどうかは、個々の科学研究分野の特性や制約の中で、いかにして仮説や主張を経験的にテストできるかどうかに主眼がおかれるべき。 -p45
 
普遍法則を求める科学が「タイプ」について論議してきたのに対し、歴史や進化を論じる科学は「トークン」に関する考察をしていると言ってもかまわない -p75
 
分類は絶対的なものではなく、ある採用された分類基準(類似性の尺度)にしたがってグループ分けをしているに過ぎない。 -p
 
系統樹を描くということは、多様な対象物に関する鳥瞰図を与えると同時に(略)相互比較のための足場を組み立て、そのような多様性が生じた因果に関する推類を可能にし、さらには対象物に関するさまざまな地検を体系化し、整理するという役割も担っている。 -p164
 
「系統樹の世界」
 

2007年12月2日

開発したのはニューヨーク大学クーラント数理科学研究所のジェフ・ハン研究員(左)。

タッチ、ジェスチャー、それに圧力の程度まで読み分けてくれるUI

http://www.fastcompany.com/multimedia/video/player.html?bctid=769654555

http://www.gizmodo.jp/2007/01/post_787.html

2007年11月25日

スイス、永世中立国の姿とは
 
キーワードは「国民皆兵制」
  • 一家に一台の自動小銃
  • 一村にひとつの射撃訓練場
  • 一年に2週間の兵役
国民は全員、国防軍の軍人でもある。
 
歴史的背景
 
ロマンシュ語族の独立戦争
  • 連邦制
  • フランス語、ドイツ語、イタリア語による4つの公用語
 
スイス傭兵の時代
  • 兵士の育成と派遣のビジネス
 
ナポレオンによる(支配) 征服
とばっちり敗戦
ナポレオンの百日天下では連合側につく
オーストリアから見れば「自分の味方でなければ、敵と組んでいるに違いない」と思われる立場
 
中立であることのリスク
 
中立にはリスクがともなう。
中立であることは、周囲のすべてが敵であることと、同義。
いじめを無視して放置することもいじめであるという理論に近い。
 
国際連合との付き合い方
  • 軍事行動への不参加
国際連合との付き合い方
  • 不参加
 
中立を守ることは、複数の正義の両方と戦わなければならない
 
  • アルプスの要塞に籠城してナチスとの戦闘を回避したことは、連合国側からの領空侵犯と誤爆を受けることを招いた
 
 

2007年11月20日

フランスには順応主義を忌避するその国民性とあいまって、「問題に行き詰ったときには事態を揺り動かすことで新しい流れをつくる」という精神が脈々と受け継がれているように思える。

 

「エリゼ宮の食卓」P231

フランスが経済力では日本の後塵を拝しながら、国際政治では日本と比較にならないほどの発言力を保持している理由は3つある。

  1. 国連安全保障理事会5カ国の一角であること
  2. 核兵器保有国であること
  3. 首脳外交を軸とした外交力

フランス大統領は国防と外交を専管事項とし、内政を担当する首相と明確に棲み分けている。

このため大統領は内政に煩わされることなく、積極的な首脳外交を展開し、「フランスの考えと存在を、国際社会により広く知らしめる」ことを可能にしているのである。

ヨーロッパの宮廷外交で外交術を磨いてきた伝統もあるが、何かあるすぐさま内政に足をとられる日本の首相と比べ、外交力で差が出るのは明らかだ。

 

「エリゼ宮の食卓」p221

2007年11月19日

君は君なりに私の同類ではないのか? 何もかも失敗してしまったので恥じているのか? かまうことはない、ちょうど私も同じ目に逢っているのだ。私はひとりだと盛んに吠えて気を紛らす。来なさい。二匹でいる方が楽しい。
 
私は鼻先が入るくらいの穴を掘り、土地だけが聞いてくれるよう、私の横に居るもの、私の上にいるものには聞かれないよう、鼻先を突っ込んだまま歌い、朗唱したのである。
 
「ある老犬の回想」より 「カフカ短編集」P307

2007年11月15日

整理には、焦点が必要である。
目標に向かってすべてのものを統合する。
その方向がはっきりしていないと、まとめをすることができない。
 
収斂的思考は思考の半分に過ぎない。しかも受動的半分である。
創造的半分は拡散的思考、つまり誤解を恐れず、タンジェントの方向に脱出しようとするエネルギーによって生み出される思考である。
これまでにこれが充分認識されないできたのが、われわれの社会の不幸であった。
本当の独創、創造ということが、“変人”でないとできにくいというのは悲しい。
 
自分の新しい解釈を創り出して行くのが、拡散的読書である。当然、筆者の意図とも衝突するであろうが、そんなことにはひるまない。
収斂派からは、誤読、誤読だと非難される。しかし、読みにおいて拡散的作用は表現の生命を不朽にする絶対条件であることも忘れてはなるまい。
古典は拡散的読みによって形成されるからである。筆者の意図がそのままそっくり認められて古典になった作品、文章はひとつも存在しないことはすでにのべたとおりである。

「思考の整理学」P208
長く説明しなければならないほど、考えが未整理なのである。
 
テーマはシングルセンテンスで表現されるものでなくてはならない。
 
「思考の整理学」P145
いい空気のところでないと、すぐれたアイディアを得ることは難しい。

考える場所の雰囲気が大切である。

考えごとをしていて、うまく行かないときに、くよくよしているのがいちばんよくない。
 
アイディアの芽は小さく、弱い。 へこんでいては、思想はまとまらない。

「思考の整理学」P150

2007年11月14日

——神に願いたまえ、きみが常に勝者の側にあることを。なぜなら、勝者の側にあれば、きみにはなんの功績がなくてもむくわれるものだが、反対に敗者の側に立ってしまうと、いかに功績があっても避難されないではすまないからである。——
 
 苦笑するしかないが、これが現実なのだろう。
 
——宗教を敵にまわしてはならない。また、神と関係することすべては、敵にまわさないように心がけるべきである。なぜなら、この対象たるや、馬鹿者どもの頭に、あまりにも協力な影響力をもっているからである。——
 
 ごもっとも!
 
——権力と名誉は、誰もが求めるものである。なぜなら、普通は華やかな面のみが眼につくからで、権力や名誉がもたらす苦労や不快な面はかくれているからだ。しかし、もしも両面とも陽の下に明らかになるとすれば、権力や名誉を求める理由は、ひとつを残せば失われてしまうであろう。そのひとつというのは敬意を払われれば払われるだけ、人は、神に近い存在となったように思えることである。
 男に生まれて、誰が神に似ることを望まない者がいようか。——
 
『覚え書』(リコルディ) グイッチャルディーニが家族のために書き残した
 
「わが友マキアヴェッリ」P527
 
創り出すと言う行為は、幸福であるだけでもできないものだが、不幸であるからといってできるというものでもないからである。
 
 
マキアヴェッリの研究者たちが、この時代のマキアヴェッリを不幸と断じるのに、私はどうしても賛同することができない。たしかに、彼は不幸ではあった。だが、それは、不幸であるとtおもに、幸福であり、幸福であるとともに不幸である、というたぐいの不幸ではなかったか、と私には思えてならない。だからこそ、創作が可能であったのだ、と。創り出すと言う行為は、幸福であるだけでもできないものだが、不幸であるからといってできるというものでもないからである。しかし、この種の幸福は、実を追求することが本来の任務である学者たちには、なかなか分かってもらえないものかもしれない。

「わが友マキアヴェッリ」P460
 


往復書簡としての条件

往復書簡が価値をもつには、いくつかの条件が満たされる必要がある。
  1. 書き手二人ともが、手紙を介した対話であろうと思うこと。それがために、書かれる内容は、送られてきた相手の手紙の内容を受けたものでなくてはならない。双方とも勝手に思うことを書きあっているだけでは、往復書簡にはなり得ないのである。
  2. 書き手は双方とも、率直に想いをはき出す性質の持主である必要がある。社会的な地位に関係なく、人間対人間のぶつかりあいが、対話なのだから。
  3. 共通の関心ごとをもつということである。
  4. 双方ともが、自らの意とすることを格別の苦労もせずに伝えることのできる、文章力の持主であることだろう。手紙一本化久野に気が重くなるようでは、往復書簡のパートナーにはなれない。マキアヴェッリはいうまでもないが、フランチェスコ・ヴェットーリのほうも、後年歴史物などものしたくらいだから、なかなかの文章力の持主であった。
  5. この人とならば話せる、と思う者動詞であることだろう。時間的精神的余裕の有無は、さほどの問題ではあに。偶然にしても、この時期のマキアヴェッリもヴェットーリも相当に暇な身分だったが、忙しさでは人一倍であったのはずのユリウス・カエサルこそ、往復書簡のはじめ手であったとされている。カエサルの場合は口述筆記をさせていたということだが、要は、手紙を通じて対話をしてみたいと思うか思わないかの問題でしかない。

「わが友マキアヴェッリ」P428

秀才の悲劇は、天才の偉大さをわかってしまうところにある。凡才ならば理解できないために幸福でいられるのに、神は、凡才よりは高い才能を与えた秀才には、それを許さなかったのであろう。「神が愛したもうた者(アマデウス)」の偉大さは理解できても、自分にはそれを与えられなかったということを悟った者は、どのような気持ちになるものであろう。
 
「わが友マキアヴェッリ」P541

聴いたことも、考え、そしてまとめることをしないかぎり、シェンツァ(サイエンス)とはならないから、わたしも、彼らとの対話を、『君主論』と題した小論文にまとめてみることにした。そこでは、わたしは、でっきるかぎりこの主題を追求し、分析しようと試みている。
 
ヴェットーリへのマキアヴェッリの手紙、君主論誕生の経緯

「わが友マキアヴェッリ」P446
歴史は、思想なくしては書けない。史観がなければ、客観的な記録に留まってしまう。
 
「わが友マキアヴェッリ」P538
 

一度だけマキアヴェッリも「大使」になったことがある。モナコの領主グリマルディの許に派遣されたときだった。1511年の5月の話で、このときだけマキアヴェッリは、最初にして唯一度、Ambasciatore comunnitatis Fiorencie の肩書きで送られたのである。フィレンツェ共和国大使、というわけだ。

「わが友マキアヴェッリ」P356
六ヵ月前に二十ドゥカートを支払うのに同意しなかった人々は、六ヵ月後に二百ドゥカートを奪われることになる。
 
わたしは、はっきりとと言いたい。運は、制度を変える勇気を持たない者には、その裁定を変えようとはしないし、天も自ら破滅したいと思う者は、助けようとはしないし、助けられるものでもないのである。
 
若干の序論と考慮すべき事情を述べながらの、資金準備についての提言 マキアヴェッリ
 
「わが友マキアヴェッリ」P336
しかし、なによりも、あのクーポラの下には、独自でありながらも普遍性をそなえる文明をつくりだす都市ならば、必ず持っている「毒」、創造する者にとっては、多量に飲めば自壊するしかないが、適量ならば、これ以上の刺激剤はないう、毒もあったのである。

(ルネサンス期のフィレンツェについて)
「わが友マキアヴェッリ」P33

2007年11月13日

ルネサンスとは何であったのか
 
創造の本質、人間の欲求である「見たい、知りたい、分かりたい」が爆発した精神運動。
 
創造への結晶。考えるだけでは不十分、表現することで初めて理解となる。
 
ルネサンスに至るまでの土壌

  • 聖フランチェスコ
    • 商人の子、大学の出ではない
    • 日常語であったイタリア語でキリスト教の教えを説いた。
    • ラテン語は民衆とは乖離。イエスの教えを民衆が自らの頭で考える、新しい聖書の解釈。
    • 選択の自由。非難、排撃をしない。
    • 修道院に寄進すれば救済があるとしたことは、商人に受け入れられた。
    • 貧しさを尊ぶ思想

  • フリードリヒ二世
    • 神聖ローマ帝国皇帝。
    • 皇帝だが高等教育を受けておらず、キリスト教社会では異分子的存在。
    • 大学を出ていないが、ギリシア語、ラテン語、イタリア語、ドイツ語、フランス語、アラビア語を読み書き話せた。
    • 数学、幾何学、天文学に強い関心をもっていた。
 
フランチェスコは、
  • 聖書と向き合う
  • 虚心とともに読解
  • 自然と向き合う
  • 内なる声を聴こうとした
 
フリードリヒ二世は
  • 好奇心おもむくままに読書した
  • アラブ人たちを臣下におき、科学の教授を受け、実地教育を受けた
 
 
宗教に対する3つの態度

フリードリヒ二世の時代から800年が過ぎてもなお、現代のヨーロッパでは……
  • ateo
    • 神の存在を信じない。無神論者、無信仰者。
  • credente
    • 信仰者。
    • 特にpraticante は教義に忠実、ミサには必ず通うような人々。
  • laico
    • 神の存在を否定はしないが、宗教の関与すべき分野とそうでない分野を明確に区別する人々。
の人々がいる。
 
★ルネサンス期のヨーロッパにおいては、マキアヴェッリも、ガリレオ・ガリレイも、フリードリヒ二世も laico であった。
いわば、ルネサンスは laico たちの精神活動であった。
 
 
フィレンツェ人気質
 
我が身まで傷付けかねないほどの強烈な批判精神。
芸術家の工房は一階にあり、同時に店でもあったので、自由に出入りできた。
 ↓
誰でも自由に批評を言っては立ち去っていった。
購入する気のある人も、ない人も。
 ↓
芸術家はこの手の忠告に貪欲。
批判者と言い争った後で、こっそり作品を補正していたのだろう。
 ↓
当時のフィレンツェは絵画、彫刻に限らず、美を追求するならば何でも引き受けていた。絵も、彫刻も、金工も。
 
★フィレンツェの工房では、見習いはあらゆる作業に従事した。ジャンルを専任するのは、出世後の事だった。
 
 
出版の自由
 
言論の自由が認められていたヴェネツィアで、出版のルネサンスがおこった。
 
★出版によって、知識は協会と修道院から市井へと広がった
 
グーテンベルク
  • 1455年 「42行聖書」の印刷
 
アルド・マヌッツィオ アルド出版社を創立
  • 1490年 ヴェネツィアに渡る
  • 1494年 「ギリシア詩集」刊行
  • 1498年 「アリストテレス全集」刊行
  • ギリシア、古代ローマの「古典」のほか、エラスムス等「現代」作品も刊行した

1495-97年の間、全ヨーロッパで1821点の書物が刊行された。
その内、447点がヴェネツィアで刊行された。(2位のパリは181点) 
 
■ アルドが発明したもの
  1. イタリック体(書体)
    • 読みやすく、ページ内の文字数を多くすることができた
  2. 文庫
    • 紙を8回折るとこから、「オッターヴォ」(八つ折り)と呼ばれた
    • 安価さと小ささで、一般と学生にヒット。普及の原動力となった
 
芸術の振興は教養のある経済人による援助が不可欠。
フィレンツェでは、コシモ・デ・メディチ、ピエロ、ロレンツォの三代がそれにあたる。 
 
■メセナの語源
 古代ローマの皇帝ティベリウスの補佐であったマエケナスが詩人のヴェルギリウスやホラティウスを援助したことに由来。
 
 
アカデミア・プラトニカの終焉
 
一流学者たちの解散。
その理由は、観念論は別の観念で向かってこられると、意外と弱いもの。
ヨーロッパ屈指の学術機関だったのに、ロレンツォの死後、2年で解散。
 
 
哲学と科学
 
誰かがごく一般的な疑問をもった時に発生する「好奇心」。これが科学と哲学の種。
 
ギリシア文明はわずか200年間のあいだに華やかな知性の爆発があった。
  • 芸術、科学、文学、哲学
  • すさまじい量の創作が起こった
  • ヨーロッパ文明の基礎となった。
 
★すべての事柄に「なぜ」を突き付ける
そして、自分なりの回答を常に探す(仮説、想定)、そして見つける事
 
 
創作者に不可欠な要素
 
  • 謙虚さ
  • 誰にも負けないという傲慢不遜
 
一見矛盾するこの要素が成立するのが創作者・クリエイターの条件
常人であれば、その矛盾が精神のハレーションを起こしてしまう。精神の不安定化を招く。
 
創作は「なぜ」に対する、自分なりの回答でもある。
表現は伝達の手段であると同時に、頭の中の考えを明解にする効果もある。
 
 
ローマ市の略記号
 
「SPQR」 Senatus Populus Que Romanus 「元老院ならびにローマ市民」
現代ローマ人は皮肉で Sono porci questi romani 「ローマ市民は豚である」と表現さえする。
  
どこの国よりも国際的、コスモポリタン「ローマ」
 
 
反動宗教改革と異端審問の時代

異端審問官の「実績」をみよ。
動機のただしさを確信している者の行う悪こそ凄まじい。
 
16世紀半ば、異端審問官の手の及ばない知は、ヴェネツィアかアムステルダムのみだった。
 ヴェネツィアでは
  • 異端審問が開かれなかったわけではない。設置は認められていた
  • ただし、共和国側の人間(俗人)の出席が義務と定められた
  • 会則には、委員がひとりでも退席したら、流会になると決めた
すなわち、ヴェネツィアは、反動宗教改革に反対はしなかった。単純に「流した」のである
 
 
大航海時代
 
大航海時代における重要人物

<氏名/出身地/出資者>
  • バルトロメオ・ディアス ■ポルトガル ■ポルトガル王
  • クリストフォロ・コロンブス ■ジェノヴァ ■スペイン女王
  • ヴァスコ・ダ・ガマ ■ポルトガル ■ポルトガル王
  • アメリゴ・ヴェスプッチ ■フィレンツェ ■スペイン王
  • フェルディナンド・マゼラン ■ポルトガル ■スペイン王
  • ジョヴァンニ・ダ・ヴェランツァーノ ■フィレンツェ ■フランス王
 
★大航海時代の航海探検は航海者が企画を出資者に売り込んで実現したもの。スポンサーにももくろみがある。 
 
スペインやポルトガル人は進出先を領有するため、ヴェネツィア等は交易のため。
インカ帝国の滅亡は、スペイン人による掠奪によるものだから、もし、イタリア人が大航海時代をリードしていたならば、インカは滅亡しなかったかもしれない。
 
大航海時代の隠れた主役
 
パオロ・トスカネッリ
 
コロンブスに、インドへの近道は、アフリカに沿っての南下ではなく、大西洋を西へと横断する方法であると言った人物。
人生のほとんどをフィレンツェで過ごしたが、地理学、天文学、宇宙学の学者。
自然現象の観測と数学、幾何学によって、緯度と経度の概念を考えた。
ギリシア語とラテン語に非違で、古代の文献を自分の考えに取り入れた。
また、ハレーよりも前に、ハレー彗星を4度も観測した記録がある。
 
 
権威と権力
 
  • ヴェネツィアは、このバランスを巧みに取った。
  • 国家の代表者である元首(ドージェ)、その権威は国家の最高
  • しかし権力は元老院200票の中の1票でしかない。十人委員会では17票の中の1票
  • 権力が権威のもとに集まらないように工夫されていた
 
権威と権力が比例するのが帝政や君主性である
 
  • ヴェネツィアには「大金持ち(大富豪)」は現れなかったが「富豪」は大勢いた。
  • 貧富の差はいつもあったが、「層」として固定されておらず、敗者復活戦のシステムがあった。
  • 遺族年金のシステムも存在していた。
 
 
表現とは。天才の作品を理解するには
 

表現とは、自己満足ではない。
他者に伝えたいという強烈な想いが内包されているからこそ、力強い作品に結晶する。
 
芸術の解説書を読む必要などない。
作品を前にし、自分が「天才」になったつもりで「虚心平気」に彼らと向き合えば良い。
天才とは、こちらも天才になった気にならなければ、肉薄できない存在なのだ。
 
ダ・ヴィンチが書いたものには、「キミ」という呼びかけが使われていることが多い。
となれば、その「キミ」になって読まなければ、どうしてダ・ヴィンチを理解できようか。
 
 
塩野七生「ルネサンスとは何であったのか」

2007年11月12日

テーマはひとつでは多すぎる。
ひとつでは、すべてを奪ってしまう。
 
ウィラ・キャザー(アメリカの女流作家)
「(恋人は)ひとりでは多すぎる、ひとりでは、すべてを奪ってしまう」
相手がひとりしかいないと、ほかの人が見えなくなって、すべての秩序を崩してしまう。

「テーマはひとつでは多すぎる。少なくとも2つか3つをもってスタートして欲しい」
   
「思考の整理学」P42
中国の古人、欧陽修(おうようしゅう)は文章を考えるのに良い3つの場所を「三上」と呼んだ。
 
  • 馬上
  • 枕上
  • 厠上
 
今で言えば、通勤電車の車内、就寝前の床の中、トイレの中。
 
「思考の整理学」p37
「見つめるナベは、煮えない」
 
英語には「Sleep over」という成句がある。一晩寝て考える。

朝の思考は発見に満ちている。
 
「思考の整理学」p32
倉庫内の整理は順序良く並べる整理。工場内の整理は邪魔なものを取り除く整理。

コンピューターにできないことをしなくてはならない。創造的人間である。
脳は、新しいものを作り出す工場でなければならない。倉庫なら入れたものを紛失しないようになっていれば良い。
工場にやたらなものがあっては、作業能率が悪い。よけいなものを処分して広々としたスペースをとる必要があるがすべてを捨てては作業にならない。整理が大切である。
 
「思考の整理学」p112から抜粋

2007年11月11日

多数決は、概して、つまらないものを生む
 
無難な住まいは、無難な人生しかくれない 

morimoto のCMより
 

Windows Live Writer から投稿してみた

Windows Live Writer から投稿してみた。

新しいツールは大好きだ。

2007年11月10日

完璧な飛行だった。しかし、完璧な行為というものは評価されない。完璧な行為はとどのつまりは当然のことに思われ、べつに勇気がなくても出来ることに見えてくる。カーティスの一機がまだ森の上を飛びまわり、有名なカーティス夫人が夫の身を案じているさなかに、おおかたの見物客は、もう彼のことを忘れていた。
 
カフカ「ブレシアの飛行機」
自由などほしくありません。出口さえあればいいのです。右であれ左であれ、どこに向けてであれですね、ただこれ一つを願いました。それが錯覚であろうともかまわない、要求がささやかならば錯覚もまたささやかなものであるはずです。どこかへ、どこかへ出ていく! 木箱の壁に押し付けられて、ひたすら膝をかかえているなど、まっぴらだ。
 
カフカ「ある学会報告」より(短編集「田舎医者」収録)
深い藍色の夜空と黄金色の星にさそわれた。何も知らずに空を見上げ、帽子を持ち上げて髪を撫でた。天空は動いても、次なる未来を教えはしない。
 
カフカ「兄弟殺し」より 短編集「田舎医者」収録

2007年11月4日

知の行為
 
知の行為者としての倫理、「反証可能性」
 
考察を導く軸
  • 主体と他者との問題
  • 認識から実践へのプロセス
  • 開かれたコミュニケーションと創造性
 
学問における普遍性
  • 誰にとってもそうである原理
  • そしてその論証
 
「反証可能性」 falsifiability
  • どのような知の言説も、再検討、反論反駁、更新できる可能性
  • 反証可能性が常に開かれていなければならない
 
普遍性とはあらかじめ存在はしない
到達し、獲得することが目指すべき地平
 
  
知の行為
 
普遍性の方へ自らの言語を開いていく仕方や、作法を身に付ける事が肝要
知識をどれだけ仕入れても、普遍性の方へ開かれた表現の手続きに結びついていなkれば知の行為とはならない
 
知の行為の主体となる訓練が必要
 
   
知の行為の主体
  • 普遍性の基準に見合った主体
  • 形式的、技術的に仮設され、借定され、それ故に学習される主体
 
学問的な言説、科学的な言語の習得によって、この主体に自身を置く方法を身に付ける
文科系の学問は、純粋な形式言語ではなく、自然言語の中に根付いている
 
普遍的な形式化が究極的に理論的か
——否、
「不確定性原理」ハイゼンベルク
「不完全性定理」ゲーデル を参照せよ
形式化による普遍性の限界

学問の行為は「ひと」と「ひと」との間の相互関係である
固有の文化的、歴史的な特異性を背負った不透明なもの
 
固有の主体性から出発し、自らの行為を普遍性の方へと開いていくプロセスに自覚的でなければならない
  • 自然科学を含む人間の文化的営みの在り方に根本的な問いを投げかける
  • 新しいプロセスを創造的に生み出す
  • 普遍性へ向かうプロセスは、本質的に想像的な多様性を許容する
 
 
「知の行為」とは
 

知りたいという好奇心を越え、一般化可能な問題が立ち現れた時、「人間とは何か」に収斂していく中で問題意識となり、知の行為がスタートする

問題構成の構造

a. 一般的な問い
自分は今、何を問おうとしているのか

b. 研究対象
材料は何か。対象の固有性、特異性と一般性をいかに結び付けるのか

c. 関連対象
何との関連から特異性、一般性を導き出すのか

d. 方法論
一般的な方向へ切り開いていく
 
学問の行為による記述は、一定の知的な共同体にとっての真理に過ぎない
決してそれが無前提的な唯一の真理ではない
 
自明か否か、
正当か否か、
 一定の文化の体系に因るものに過ぎず、絶対的な普遍性など主張できない
 
真理はそれを見なす主体との相関関係で捉える。主体の数だけ真理がある 
文化や時代を超越して他者と会い、真理について対話する 
 
interest
(利益、権利、関心、所有権)
  • それぞれの主体が持っている固有の力、社会を動かす力
  • 自身の interest に動機付けられた自己を他者の方へ開く事他者の interest との調停へ向かう事が重要
 
対話を導く原理
  • 公正
  • 創造性
 

2007年10月29日

知的労働者は少なくとも25%の時間を電子メールに費やしている。電子メールは労働時間の最大の項目である。

週4時間労働を達成するための重要な点の一つは、自分の仕事の進め方を回りに認知してもらうことである。私は受け取った電子メールに対して、以下の自動応答を返している。

親愛なる同僚のみなさん

電子メールをありがとうございます。著しい多忙と迫り来る締め切りのため、そして仕事の効率化のため、私は午前11時と午後4時にしか電子メールを読みません。それらの時間より前に私が応答する必要がある場合は、私の携帯電話に連絡してください。

また、戴いた電子メールが質問を含まず、伝達あるいは単なる表明である場合は、私は返信しません。どうか気を悪くなさらないようお願いします。

ご理解を感謝します。

ティム・フェリス

これを実行すると、人生ががらっと変わり、もっと早くからやらなかったことを悔やむだろう。

電子メールを読むのは1日2回である必要はないが、ある程度溜まってから読む必要はある。

最悪の習慣は、朝一番に電子メールを読むことである。種々雑多なことで頭が乱されてしまう。朝は重要なことに集中し、昼までに一仕事終えるべきだ。

電子メールは効率を重視したコミュニケーション手段であり、そっけないものである。人間関係の維持・向上のためには電話を使うほうがよい。

ドナルド・E・クヌース教授も、電子メールを捨てた有名人の一人。

 

「1 週間に 4 時間しか働かない人の仕事術」 [hatena.ne.jp]

「電子メールへの対応」の項。すべての人に適用できるわけではないにせよ、示唆に富む。


 

2007年9月18日

自分の属する組織が達成しようとしていること、およびその理由をはっきりと理解している人
——37%

チームや組織の目標達成に熱意をもっている人
——5人に1人

自分の目下の課題と、チームや組織の目標との間に明確な見通しを持てている人
——5人に1人
 
週末に振り返ってみて、自分が成し遂げた仕事に満足できる人
——5人に1人

主要な目標を達成する上で、組織が自分の能力をフルに発揮させてくれていると感じている人
——15%

強い信頼関係で結ばれた職場環境だと感じている人
——15%

異なる意見を尊重し、新しいよりよいアイデアを生むような開かれたコミュニケーションを組織が推賞していると感じている人
——17%
 
社員は組織において結果の責任を引き受けていると感じている人
——10%
 
組織を完全に信頼している人
——20%
 
組織内のほかのグループや部署との間に高い信頼性と高度な協力関係があると感じている人
——13%
 
「ハリスの世論調査」(xQサーベイによる)
 
 
サッカーでたとえれば、どちらが相手のゴールかわかっているのは11人中4人
勝負に関心があるのは2人
自分のポジションと役割がわかっているのは2人
11人中9人は、敵よりも自分のチームメイトに対抗意識を持っていることになる。
 
 
『第8の習慣』より


知的労働者の時代の中の中心的な課題を乗り越えるための答え。
 
第8の習慣は、
自分のボイス(内面の声)を発見し、それぞれ自分のボイスを発見できるよう人を奮起させるためある。


この新しい時代に求められることは何かといえば、それは偉大さである。
別の言い方をすれば、情熱を持って実行すること、課題を達成すること、そして大いなる貢献が求められている。


「第8の習慣」より
20世紀の企業の最も価値のある資産は生産設備だった。それが21世紀では、企業でもその他の組織でも、最も価値のある資産は知識労働者と彼らの生産性になるだろう。

ドラッカー

「第8の習慣」より
現代のマネジメントの手法の多くは産業時の時代の産物だ。(中略)
従業員は人件費という経費とみなされ、資産といえば機械だった。考えてみてほしい。人間は損益計算書に経費として記載されえる。一方、設備は賃借対照表に投資として記載されえるのだ。

「第8の習慣」より

2007年8月11日

 アメリカNRC (全米科学アカデミー) では、2000年に、2020年の製造業のあり方に関する調査報告書「Visionary Manufacturing Challenges for 2020」を発表した。同報告書では、「画期的な製品といえども4〜5年もあれば、他社に模倣される。優れた生産手法や開発体制も、競合企業が本気になっ て追いつこうとすれば、7〜8年で追いつかれる。最もキャッチアップがむずかしいのは、”人の能力や資質〃である」 ということが述べられている

http://kwenchanajo.ld.infoseek.co.jp/02-nare.html

2007年8月2日

大きな成果を出す人は、問題に集中しているのではなく、機会に集中している。


『7つの習慣』


20070305

正直、とは真実を語ること。言葉を現実に合わせること。

「誠実さ」とは現実を言葉に合わせること。約束を守り、期待に応えること。

その場にいない人に対して忠実になること、弁護すること。

その場にいない人との信頼関係を構築できる。

『7つの習慣』

20070311

弱き人ほど薄情である。やさしさは強き人にしか期待できない。レオ・ロスキン

謝るという行為は高潔な人格を必要とする行為である。

内的な安定性に欠けるにはできないことである。

弱い人は、自分が弱いものに見られ、他人がその弱みにつけこんでくるのではないかと恐れているからである。

そういう人の生活は、他人にどう思われるかに起因している。

自分の行動を正当化し、相手の間違いを自分の行動の言い訳に仕立てている。

『7つの習慣』

20070311

自制と自己のコントロールが、他人との充実した関係の土台になる。

『7つの習慣』

20070310

「デレゲーション」権限譲渡

他人に仕事を任せること。

人に仕事を任せる場合は「効果」を、自分で行う場合は「能率」を考える。

「コントロールを手放すこと」

『7つの習慣』

20070309

時間管理という言葉自体に誤りがある。

時間は管理できるものではない。

唯一管理できるのは、自分自身だけである。

『7つの習慣』

20070309

文章とは「使う言葉の選択である」 ユリウス・カエサル
使う言葉の選択を誤ったがゆえに起こる失言は政治に携わる人間には絶体にあってはならない愚行。
政治家には許されない。


『ローマ人の物語』

20070302
感情で嫌なこと、面倒なことを実行する習慣を身に付けること。
自らの嫌だと言う感情を目的意識の強さで服従させる。
これを可能にするのが高い率先力、主体性である。
それらが必要である。
ミッション、明確な方向性、価値観、「ノー」と言える大きな「イエス」が率先力を支える柱となる。
それらを自分の意志で行っているのだと自覚する「自由意思」。


『7つの習慣』


20070306

「主体性がある」とは

  • 自身の価値観に基づいて行動できること。
  • 質の高い仕事をこころがけ続け、実行すること。
  • 自分の行動の責任を自分でとること。
  • 環境や状況、条件に左右されないこと。

反対に、「主体性がない」とは、

  • 責任を放棄していること。
  • 物事に反応的にしか対応できないこと。
  • 周囲に振り回され、心理的にも不安定になる。

周囲に頼る、ということは、周囲に振り回される、ということだ。


『7つの習慣』


20070305
マネジメントは手段。どのような方法で結果を導き出すかが焦点である。
反対にリーダーシップは望む結果を定義している。
何を達成したいのか、への答えである。
 
マネジメントは、物事を正しく行うこと。
リーダーシップは、正しいことを行うこと。
 
リーダーシップは目的達成の道順を示すもの。
マネジメントは、道を効率良く進む方法。

『7つの習慣』


20070305


すべてのものは二度作られる。
一度目は知的な創造。明確なイメージが形作られ、設計図が引かれ、青焼きが作られる。
イメージの中の作業。
二度目は物的な創造。
実際に造られ、形を現す。
マテリアルは消費される。

『7つの習慣』


20070305


「率先力」とは、自分から進んで状況を改善する行動を起こせること。
酢大敵な問題解決を行うこと。

他の人の主体性を尊重し、責任を持たせ、任せる。
その人が自ら問題を解決できるように。


『7つの習慣』

20070305
自分の身に起こることによって人間は傷付くのではない。
自分がその状況を容認すると言う選択、によって傷を受けるのである。
心の底から「今の状況はこれまで私が行ってきた選択ので結果である」ということを正直に受け入れられることである。

『7つの習慣』


20070305
動物は外部からの刺激に対し、習慣によって特定の刺激に対して特定の反応をするが、人間はそうではない。
刺激に対して人間は、「自覚」『想像力」「良心」「自由意思」の選択をする自由がある。

<Responsibility>
責任(Responce + Ability)

「反応を選択する能力」=「責任を取れるということ」


『7つの習慣』


20070304
人は時間をかけて自分のものの見方を作る。
「先入観」「既成概念」「思い込んでいる常識」。
これらが「レンズ」を形成している。
他人が見ている「物の見方」に気付く必要がある。


『7つの習慣』


20070304
<人格>とは、9つの要素で構成される。

  • 誠意
  • 謙虚
  • 誠実
  • 勇気
  • 正義
  • 忍耐
  • 勤勉
  • 節制
  • 黄金律


『7つの習慣』


20070303
状況を変えたければ、まずは自分が変わらなければならない。
自分を効率的、効果的に変えるには、まず自分たちの知覚、ものの見方そのものを変える必要がある。


『7つの習慣』
上辺だけの対人コミュニケーションスキルでは、根本的な問題の解決にならない。
だから問題は再発する。

『7つの習慣』


20070304
人はあるがままを見ているようで、実はある種のレンズを通して物事を見ている。
その「レンズ」が私たちの世界観を作り出し、私たちの行動の方向を決定している。


『7つの習慣』

20070303
システムとは不断のメンテナンスが必要である、という認識。
必要に応じてただちに行動する柔軟な行動力。
それを可能にする経済力。
これらのいずれかがかけても機能しない。


塩野七海


20070302
(滅亡の)このような時代に生きる者にとって最善の忠告は何か。
そう、それは国を捨て、国外に脱出することだ。
昔(前504年)に、フォチェアの民がペルシアの支配に絶望して国を捨てたように。

古代ローマの詩人 ホラティウス
ローマの墓碑

幸運の女神はすべての人にすべてを約束する。
と言って、約束が守られたことはない。
だから一日一日を生きることだ。
一時間一時間を生きることだ。
何事も永遠ではない生者の世界では。


『ローマ人の物語』



20070301

真の知性とは、知識、教養だけではなく、見たくない現実まで見据える能力。
見据えただけでは充分でなく、見透し、最善の策を理解しうる力。
創造性のある現実認識能力。


『ローマ人の物語』


20070228
法についてのローマの格言。公正をきしてつくられるのが法律だが、そのあまりに厳格な施行は不公正につながる。

法の父、ローマ人らしい格言。


塩野七海


20070228
政治的平衡感覚。両極端の中央に座ってしまうことではなく、両極をたえず往復しながら常に最良の点を探し続けること。


『ローマ人の物語』



20070228
古代ローマの少子化対策(前18年)
非婚、離婚は個人の生き方の問題と自由だが、国家としては生んで欲しい。増えて欲しい。
そこで、婚姻者には税制面での優遇が、離婚者には冷遇がなされた。
不倫は公式に犯罪となった。


『ローマ人の物語』



20070228
選挙から名誉が消え、改革が利益の為に誘導されると、汚職が始まり、選挙のクリーン度は下がる。
政治は名誉であり、虚栄心をくすぐる要素がなければ、人は国政を遠ざける。
共同体としての存在意義が弱まってしまう。


塩野七海



20070227
日本酒の古酒  酢は「酢酸菌」を加えたもので、古酒とは異なる。
「長期熟成研究会」自主基準。法律で決められてはいない。
満3年以上熟成させた日本酒。ただし、増熱酒は除く。


20070226
政治への理解が低くても経済活動は可能だが、政治を行うには経済への理解が不可欠である。
カエサルもアウグストゥスもこの点を完璧に理解していた。


『ローマ人の物語』
塩野七海



20070226
改革は、破壊なしには達成できない。
素人は他者の利益を重んずる傾向がある。
自己は1人だが、他者は多勢。
その為、破壊は半端になり、改革は不徹底となる。
秩序を転覆させるには “大悪人” でなければならない。



塩野七海


200070223
ウィドゥキント 8世紀のサクソン人のリーダー、ザクセン公。
サクソン戦争において、カール大帝に降伏し、キリスト教化。
洗練前は黒馬、洗礼後は白馬を駆ったことでしられる。


20070225
平等。結果の平等ではなく、機会の平等であることに注意すべき。
不平等は「公正」で監視すべし。



塩野七海



20070223
国際人とは、その人の性格と、性格の反映である言動が国際競争力を持つ人のこと。
すなわち、国際的に通用する人、をさす。



塩野七海



20070223
民主制とは50%プラス1人の考えを実行すること。
反対派を考慮したら、民主制ではなくなる。
施政に不満があれば次の選挙で反対票を投ずれば良い。
このシステムが機能して、はじめて主権在民が成り立つ。



塩野七海



20070223
若者の感受性などというものは、精神的に怠けているオトナの降伏の印。
深遠で鋭敏な感受性はオトナだけのものである。

塩野七海


20070222
ものを書くにあたって、差別用語に神経を尖らせるのは、不毛なエネルギーの消費でしかない。

塩野七海



20070222
正義(正しい意義)には、他者もそれを認めなければ成立しないという面がある。
他者には他の義で迫られたら、義の正当性をより強く主張しなければならなくなる。


『人々のかたち』


20070222
友情の定義

考え方が似ていて互いに尊重しあっている者同士の間で成立する精神的なつながり。



『人々のかたち』


20070222
人生はマッチ箱に似ている。
用心に用心を重ねて扱うほどのことはないが、かといってぞんざいに扱ったのでは火傷する。

芥川龍之介


20070221
戦争と戦時のリーダーについて

「戦争好きの狂人では、戦時のリーダーにならない」

「戦場であっても、安全と思えるなら、何でも楽しみは行うべき。そして軍人としての職務をこなす。部下の心身の保護とともに」

「戦時のリーダーにはすぐれたパフォーマンスが求められる。偽善で構わない。死と向き合っている状況では、偽は偽ではなくなることが多いのである」

「戦争がヒューマンファクターに左右されることは、古代から現代まで変わらない。力量、性格、能力、経験、士気、古代と現代で異なるのは兵器と装備。平然と部下を犠牲にする将には兵は続かない。ミサイルを正確に落とすのはテクノロジーだが、どこに落とすかを決めるのは人間」
 
「シビリアン、ミリタリー、どちらの人間でも戦争は失敗する。ミリタリー的思考のシビリアンならば良いか。戦争は血を流す政治であり、政治は流血のない戦争」


『人々のかたち』
塩野七海



20070221
優れた創作者は、けっして簡単に一刀両断できるような人間は描かない。
なぜなら人間は、互いに矛盾する両面を合わせ持つのが普通で、そういうアンビバレンスを描ききってはじめて人間がかけている、ということになるからである。


塩野七海

20070219


芸術がプロテストの手段となるとき、貧しさとみじめさに覆われる。
健全な精神の人に、健全なよろこびと楽しみをあたえる。
健全な精神の酔いを与えるために、プロテストの手段でない芸術を望む。



20070218

(中国の)戦国時代の思想の中には暴力による革命を否定するものもある。
のちの儒家の旦代禅譲思想で完成する。


『中国の古代文学(二)』
白川静



20070218
古代中国における運命の定義

運命とは自己貫徹を妨げる力。
司馬遷が好んで用いる「周儻不覊(テキトウフキ)」というのは、この運命への挑戦者という意味。
 
『中国の古代文学(二)』
白川静


20070218

2007年8月1日

「白昼の意識は、しばしば夢の論理以上に独断と偏見に満ちている」
「できれば名無しのままで済ませたいと思う」
「創作ノートは覚めて見る夢。必要なことはメモしようとする心構え」
「ルイス・キャロルは存在しない少女を愛してしまったがために、ポートレート撮影に凝ったのではないか」
「シャッターを押すことで、世界の部分を手に入れる手形にサインした気になれる。その瞬間の自己欺瞞が楽しいのだ」
「弱者への愛には、いつだって殺意がこめられている」


安部公房


20070217
「小鬼たちが手を振って別れを告げる。なんとなく盛り場の終業時間の路地裏を思い出していた。
立ち去る客には、非日常的な歓楽の終わりの告知。見送る女たちには、うんざりするほどの日常の反復の儀式。」

『カンガルーノート』


20070216
人間自身よりも、身に付けている小物に関心が強いのは、孤独の証拠なのだ。


『ローマ人の物語』


20070216
多くの人は、「見たいと思っていること」しか見ず、見たくない現実からは目をそらしている。

カエサル

『ローマ人の物語』


20070215
義務について(デ・オフィチス)
 
あらゆる人間愛の中でも、最も重要で最も大きな喜びを与えてくれるのは、祖国に対する愛である。
父母への愛の大切さは言うまでもないくらいに当然んであり、息子や娘たち、親族兄弟、、そして友人たちへの愛も、親愛の情を恵んでくれることで、人間にとって大切な愛であることは誰でも知っている。
だがこれらすべての愛ですらも、祖国への愛にふくみ込まれるもとなのだ。
祖国が必要とするならば、そしてそのために起ってほしいと求めるならば、祖国に一命を捧げることに迷う市民はいないであろう。

キケロ
 
 
『ローマ人の物語』

20070214
キケロ、カエサルの文章を評して

「品格が高く、光り輝き、壮麗で高貴であり、なによりもまず理性的である」

文章で大切なことは「論理的で緻密。そして他人に伝え、わかってもらいたいという情熱と意欲。


『ローマ人の物語』
ルビコン以後

20070214
治安と清掃は、そこに住む人の民度を計るもっとも簡単な計器である。


『ローマ人の物語』

20070214
人気取りの為に作られた政策は国庫への負担となるばかりか「タダでもらえるものはもらえ」という庶民のモラルの低下をもたらす。
庶民は「お得」で利があるほうになびくものだから。
案外、「本当は困っていない」庶民から既得権益を取り上げても、不満はでないもの。


『ローマ人の物語』

20070213
「孤独」は「創造」を生業とする者には一生ついて回る宿命。
だがそれを嘆いてなどはいられない。
時間的精神的余裕そのものが、そもそもない。
周囲の無理解を嘆くには費しない。


『ローマ人の物語』


20070212
真の貴族性とは

  • 自身の優越性への確信
  • 怒りや復讐は自分の精神を他者の次元まで落としてしまうことにほかならない
  • 倫理や道徳の問題ではなく、自分と他者を同質視しないということ


『ローマ人の物語』

20070212
図にのる、とは。

以下の構図。

  1. 信頼の増加
  2. 親密度の増加
  3. 「甘え」への変質
  4. 「図に乗る」現象



20070210
方式(Method)とは誰が踏襲しても一定の生家が得られる普遍性のある方法。

カエサルの手法はMethodにならない。
状況に会わせて勝つ戦法を考えるからである。

『ローマ人の物語』


20070211
 
戦略的な失敗であっても、その責任があえて部下にあると所在をはっきりさせる。
人間は気落ちしている時に「お前の責任ではない」と言われるとホッとして、再起に必要なエネルギーを自己生産できなくなる。
指揮者の判断待ちという消極性に陥る。
(カエサルは)敗戦責任を明確にすることで、再起を促した。
「恥」じた兵士は再起を決意した。

『ローマ人の物語』

20070211

士は己を知る者のために死す。
すなわち、忠誠心とは、一点の曇りも部下に与えずにおけるかどうかで引き出せる。


20070210
テクノクラートとは

テクノクラート
政策に関与できるレベルの技術者。技官。技術官僚。
国力増大のための政治と科学の協力の際に活躍する人種。


20070209
 

人間を誰でも金で買えるとは、自分自身も金で買われる可能性を内包する人の考えることである。
非難とは、品案される側よりも、非難する側を映し出すものである。


『ローマ人の物語』


20070209
貧富の差は「私有地」(私有財産)を認めるから発生するのである。
格差が呼ぶのは、社会不安と金銭への執着である。


『ローマ人の物語』


20070208
正確に書く、とは、正直で公正あること。


『ローマ人の物語』


20070209
カエサルは復讐はしない。ただし、兵士の復讐心は活用する。
活用する者は、醒めていなくてはならない。燃える感情は、理性の制御を振り切って暴走するからである。


『ローマ人の物語』

20070208
カエサルは定員割れした軍団にも新兵を補充しなかった。

軍団単位での帰属意識の向上を行った。
帰属意識が高まれば、誇りも生まれる。
そうした軍団内部の同質性を重視した。

『ローマ人の物語』

20070208


野心とは何かをやりとげたいと思う意志。虚栄とは人々に良く思われたいという願望。

  • 野心
    • 他人に良く思われなくても、やり遂げなくてはならないという想い

  • 虚栄心
    • 他人に良く思われたい心

『ローマ人の物語』


20070206


カエサルの文章を評して
『簡潔、明晰、この上なくエレガント』
塩野七海



20070207
「カティリーナの陰謀」に対するカエサル

  • 疑わしいことに決定を迫られた際、記憶や友情や怒りや自費はひとまず忘れて対するのが正当な対し方である。
  • 理性に重きを置けば、頭脳が主人になる。だが、感情が支配するようになれば、決定を下すのは感性で、理性の立ち入る隙はなくなる。
  • 人々は刑罰について論議する時は、罪の本質を忘れ、刑罰そのものが重いか、軽いかしか考えなくなる。
  • どんな悪い事例とされていることでも、それがはじめられたそもそもの動機は、善意によるものであった。

『ユリウス・カエサル ルビコン以前』
「生き残るために鼻がきく」
サバイバル術の最も大切な要素は勘。
「どちらとも言わない(明言しない)、上層部についてはそれが肯定なのか否定なのか、勘を働かせなければならない。
無言の要求に察しがつかないものは、消されてしまう」


『裸の独裁者サダム』


20070202
「汚職を減らそうと思って党員から、新人でまったく何にも染まっていない人物を抜擢しようとしたんだ。
党のメンバーなら役人たちより正直だろうと思ったからだ。
しかしひと月も経たないうちに、新しいブラシも古いものと同じようにひどく汚れてしまい、汚職に染まると気付いたよ。


『裸の独裁者サダム』
p321

20070201
「問題は重要な地位にぴったりの人材をどうやって見つけるか、ということだよ。
私は自分の大臣たちがとりたてて有能でないことを知っている。
彼等には、とくに知性があるわけでもない。
バース党のリーダーたちについても同じことが言える。
たとえば彼らと会って、さまざまなややこしい問題を解決するために話し合うとする。
すると自分が何について話しているのか、彼らに理解させるためにだけに、果てしない時間を費やさなくてはならん。
連中の表情を観察していれば、彼らが何も理解していないことはすぐわかる」

『裸の独裁者サダム』

20070201
イラン '99
ナショナルジオグラフィック

腐敗した王制時代の高官と同じように、高位聖職者は腐敗している。
一族への富の収集。国民はうんざりしている。

すでにイラン革命を知らない世代が社会の中で多く登場している。
イラン革命にとって、教育、ライフラインは大きく整備された。

原理主義は法にも習慣の中にも色濃く残っている。
外面的な服従と、内面での不服従。
イラン人の複雑な心理。
 

20070131
evidence とは

anything that gives reason for believing something.
証拠


20070131
大正時代の職業婦人

代表的な職業婦人
「ガソリンガール」給油所のスタッフ
「市バスの車掌」(大正13年〜)
「電話交換手」
「デパート店員」
「記者」
 
知日派、タフト大統領(27代・米)

「美しい国土とと勤勉で忍耐強い国民」
「日本と良好な関係を持つことは文明国に必要なことだ」



コンビニの原点は「行商人」
「生」とは。

「何だってすべてを壊し、すべてを移ろわせ、すべてを流転の中へ委ねねばならぬといふ変梃な義務が我々一同に課せられているのであろう。こんな不快きはまる義務が世にいはゆる「生」なのであらふか?」

「少なくともその義務を重荷と感じるのは私だけに相違いなかった」

仮面の告白

20070127

潔癖さといふもの、好奇心には道徳心が

「潔癖さといふものは、欲望の命ずる一種のわがままだ」

「好奇心には道徳がないのである。もしかするとそれは人間の持ち売るもつとも不徳な欲望かも知れない」

仮面の告白

20070128


古典と漢文の素養。それが三島と川端の作家の基礎を形作っていると思われる。
と手塚さんは言った。


20070125
「風よ。龍に届いているか」を読みはじめた。
(20070122)元はHIPPONで連載。94年宝島社刊。
ウィザードリィへの愛情をひしひしと感じる一冊。ウィズへのっ深い愛情に読者は共感できるだろう。
ストーリーはオリジナル版を超越した、たぐいまれなイマジネーション。
ル・ケブレスの山に登攀で登ろうなど、よく思いついたものだと感心しきり。お見事。




「仮面の告白」を読みはじめる。
(20070125)
「紅白の太縄、黒塗りに黄金の欄干、そのひしと閉ざされた金泥の扉のうちにはまつくらな四尺平方の闇があって、雲一つない初夏の昼白中にこのたえず上下左右に揺られ跳梁していいる真四角な空つぽな夜が、公然と君臨しているのだった」
第一章から、神輿の描写

カフカの「失踪者」のタイトルは、文字どおり、法的な特定失踪者をさすドイツ語のままだ。
従来「アメリカ」として知られていたこの作品は、完全な未完の作品となっている。
カール・ロスマンはどこへいくのか。あてもなく大陸を遍歴するロスマン。
大人に入りかけた子供が社会で受けるさまざまな体験を経て、大人へとなっていく様を感じる。

20070119

MET タン・ドゥン「始皇帝」

松竹のMETライブビューイングにて鑑賞。
 
皇帝を讃える国歌を幼なじみの作曲家に依頼。
しかし将軍と結婚するはずの王女が作曲家と恋に落ちてしまう。
新しい国歌はできるが、万里の長城の建設に苦しむ労働者たちの歌を元にしていた。
将軍は作曲家に毒殺され、王女と作曲家は自殺する。
 
主演プラシド・ドミンゴ
演出チャン・イーモウ
衣装ワダ・エミ

瞑想する猿
 
初代チョロ松。
SonyのウォークマンのTVCF。

20070114

2007年7月31日

失業者とは、職を失ったが故に生活手段を失った人ではない。
社会での自らの存在理由を失った人々である。
自らの尊厳を仕事を通じて得ていくのが普通の人々である以上、人間が人間らしく生きるための誇りを失った人々なのである。
これは社会福祉では回復できない。
職を取り戻してやることでしか、回復できない。


20070113
「ローマ人の物語」

子は母の胎内だけで育つのではない。
 
母が取り仕切る食卓の会話でも育つ。
 
コルネリア スキピオ・アフリカヌスの娘


20070113
「精神の動脈硬化」
 
年齢が老人を頑固にするのではない。
過去の成功が、頑固にするのである。
地震が、変革を求められても、それを行えない頑固さの原因となるのである。


20070112
「ローマ人の物語 5」

天才は、だれも気付かなかったことに気付くのではなく、誰もがその重要性を見落としていた周知の事実の真価に気付く。


20070111
人は自分の肌にあっている方法を、最も巧みにやれる。

20070111
戦争はなぜおこるのか。

計画的な領土欲でなくとも、防衛戦が長期化し、全面戦争にいたる場合とは。

20070110
NHK 世界遺産 ヴェネツィア

多くの観光客はサンマルコ広場を見ると満足し、ここで記念撮影をして帰ってしまう。
真にヴェネツィアを知りたければ、どんどん道に迷うことである。

書店店員:フランコ・フィリッピ

20070106

「共和」と訳されるが「republic」とは「公共の益」「国益」の重視を意味する「Res Publica」による。

「ローマ人の物語 I」

修験道の霊場「投げ入れ堂」

鳥取 三得山
開山1300年

メトロポリタン美術館

1872年創立

 

コーディネーター ナンシーリー

NHK教育 製作 のビデオ

テーマ 各部門の名品のトップ3を紹介

世界経済の中心地 ニューヨーク マンハッタン

南北に連なるセントラルパーク

その一角 5番街に面する

200万点以上の所蔵品

1万7千人以上の来場者

正面玄関を入ると吹き抜けのロビー

このロビーを中心に配置される展示室

美の百科事典とあだ名される

展示をくまなく見て回るには10日はかかる

17の展示室は1F、2F、B1に別れている

*2F ヨーロッパ絵画部門

主に19世紀以前の絵画部門

ロビーを抜けたところにある階段をのぼる

12世紀〜19世紀まで2300点

エベレット フェイ 主任学芸員

ヨーロッパで初めて油絵の具を使った絵画を展示

油絵の具の登場は技術革新だった

ヤン ファン エイク

キリストの磔刑

折り畳み式の祭壇画

ボッティチェッリ

聖ヒエロンイムスの聖体拝領

ベラスケス

ファン・デ・パレーハ

吹き抜けに面した2Fバルコニー

*アジア部門

日本 中国 カンボジアなどを網羅

およそ6万点

ジェームス ワット 主任学芸員

祭祀器一式

中国紀元前20〜10世紀初頭

祭壇がセットになった

出土したとき5つの器が祭壇に乗ったまま出てきた

古代中国の儀式を想像させる

歴史的価値もさることながら、美術的価値も高い

インド

仏像立像

尾形光琳

八橋図 江戸時代 屏風

*古代オリエント部門

メインロビー左

ジョアン アルーツ 学芸員

アッシリアの偉大な王の遺産

アッシリア・レリーフの部屋

人獣一体の守護神が悪霊が宮殿に入らないように守っていた

人頭有翼の獅子

鳥頭有翼神

BC883〜859頃

鳥形のデーモン、猪、有翼龍の飾りのあるシャフト付き斧

アフガニスタン BC30世紀〜BC20世紀

水差を捧げる雄牛

イラン

BC3100〜2900頃

*写真部門

印象派部門につながる廊下がスペース

メストラル

エンジェル オブ ザ パッション

1850年頃

ウォーカー エバンス

アラバマの農夫

エドワード スタイケン

フラット アイアン

*素描版画部門

ミケランジェロ

リビアの巫女のための習作

赤いチョーク 男性モデルでデッサンした

完成品は女性で描いてある

人体スケッチ

ゴヤ

巨人

銅版画

1850年

ゴッホ

療養所の廊下

素描に色を付けた珍しい作品

*ヨーロッパ絵画部門19世紀

印象派が充実

学芸員

ゲアリー ティンテーロ

ゴッホ

糸杉のある麦畑

古典的なテーマだがゴッホならではの鮮烈のあ筆使いがわかる

ドガ

ダンス教室

モネ

サンタドレスの庭園

*イスラム部門 改装中

ダニエル ウォーカー学芸員

シーリーの絨毯

イラン

イランで作られた写本などで見られる模様

鳥や花、猫、鹿などの模様が見られる

火鉢

エジプト

13世紀

スレイマン壮麗王の紋章

トルコ

*レイマン・パビリオン

セントラルパークに突き出た8角形の建物

観葉植物とベンチが並ぶ

ガラス屋根から日光が注ぐ

レイマンコレクション

富豪レイマン氏の所蔵品

リビングを再現

ディタ アモリー学芸員

ルノワール

ピアノに向かう2人の少女

ジョバンニ ディ パオロ

天地創造と楽園追放

アングル

ブロイ公妃

メトロポリタンの正面玄関を経て1F展示

*ギリシアローマ部門

3万5千点

展示2500点

ジョアン マーティンズ

ギリシアのつぼは実際に生活に使われた

ガク形クラテル

トロイア戦争の場面を描いたつぼ

ゼウスが息子サルペドンのもとに眠りと死の神を送る場面

クーロス(若者の象) 石像

ギリシア

ボスコレアーレの別荘の寝室

BC30〜40

*アフリカ オセアニア 南北アメリカ部門

11000点所蔵

アリサ ラガマ学芸員

遺骨箱守護者の頭部像

彫刻品

20世紀初頭のアバンギャルドの画家たちに影響を与えた

ペンダントの仮面

ナイジェリア

女性像のある椅子

コンゴ

*ヨーロッパ彫刻・装飾部門

15世紀以降の彫刻、家具、タペストリー

6万点

イーアン ワードロッパー学芸員

アントニオ カノーバ

メドゥーサの頭を持つペルセウス

イタリア

大理石をつややかに見せる方法をカノーバは知っていた

カーリントン・パークの部屋

イギリス

グッビオ宮殿の書斎

イタリア

ルネサンス

物が入っているように見える「だまし絵 寄木細工」

*アメリカンウィング部門

2Fまで吹き抜けの広い室内庭園

アメリカの作家、もしくはアメリカを題材

モリス メクサー学芸員

フランク ロイド ライト

リトルハウスの居間

ライトは日本通でありアンドンなど

ジョージ ビンガム

ミズーリ川を下る毛皮商人

絵画

ステンドグラス

ルイス C ティファニー

秋の風景

*楽器部門

5000点を所蔵

ケネス ムアー学芸員

1675年イタリア製

ハープシコード

立奏用のハープシコード

ギリシア神話のレリーフと彫刻

クリストフォリ

ピアノ

世界最古のピアノ

琵琶

中国

15世紀

象牙細工で飾られている

*武器・甲冑部門

15000点所蔵

スチュワート ピアー学芸員

エリザベス女王に使えたカンバランド伯爵の甲冑

交換部品付き甲冑

1580年〜80年

美術的価値も高い

16世紀最新のモードを取り入れている

日本の鎧兜

14世紀

足利尊氏のためのもの

サミュエル コルト

拳銃

西部開拓が進む19世紀の拳銃

ジョージ ワシントンの肖像が金で入っている

ハドソン川沿いに建つ分館 クロイスターズ

*中世部門

フランス・スペインの古い修道院を移築

4つの回廊

ピーター バーネット主任学芸員

ピレネー山中のクサの回廊

回廊:噴水と庭、屋根付きの廊下で構成

クロイスターは回廊の意味

一角獣のタペストリー

1500年頃

ロベール カンパン

受胎告知

三連祭壇画

*この絵のために1部屋がある

屋上

*モダンアート部門

10000点以上のコレクション

ウィリアム リーバーマン

ピカソ

ガートルード スタインの肖像

ピカソ

アルルカン

1901年

マチス

金蓮花のあるダンス

地下

*服飾部門

年に数回特別展が開かれる

常設展示を持たない

主任学芸員 ハロルド コーダ

宮中服

イギリス

金糸のレースが縫い付けられた

C F ワース

イブニングドレス

20世紀

イブサンンローラン

デイドレス

1965年

*エジプト部門

36000点所蔵

エジプトの神殿

デンドゥールの神殿

BC15世紀

アスワンハイダム建設によって水没が確定したとき移築

供物を運ぶ女性像

BC1900年頃

王妃頭部断片

BC1300年頃


音楽関連書旧蔵

MUSICAL INSTRUMENTS OF THE WORLD
Ruth Midgley 編
Sterling Publishing Co., Inc./U.S.
1997年(原版は1976年、英Paddington Press Ltd.)
図録と解説

MUSICAL INSTRUMENTS A Worldwide Survey of Traditional Music-Making
Lucie Rault
Thomas & Hudson /UK
写真集

CATALOGUE OF MUSIC INSTRUMENTS IN THE VICTORIA AND ALBERT MUSDEUM
Schott & Baines
1998年
V&A博物館カタログ
鍵盤楽器はハワード・スコット、非鍵盤楽器はアンソニー・ベインズ解説

新しい楽器額体系
日本吹奏楽学会 編
日本吹奏楽学会
1996年
楽器図録と基礎知識

楽器編成応用概論
Henri Bsser 著/池内友次郎 訳
全音楽譜出版社
1983年
管弦楽法

楽器図説
菅原明朗 著
音楽之友社
1998年(13刷)初版1950年「楽器図鑑」
図録と解説

WHO'S WHO in MUSIC and Musicians' International Doirectory
BURKE'S PEERAGE LIMITED
1969年(第5版)初版1935年
国際音楽家名鑑

Bassoon Reed Making
Mark Popkin and Loren Glickman
The Instrumentalist Company
1987年
ファゴットのリード製作法

The Paris Conserbatoire and the Contest solos for Bassoon
Kristine Klopfenstein Fletcher
INDIANA UNIVERSITY PRESS
1988年
パリ音楽院のファゴットソロ作品目録

音楽辞典 楽語
音楽之友社
昭和50年(27刷)初版昭和29年
辞典

音樂辞典
小泉洽
東京堂出版
昭和49年(29刷)初版昭和23年
辞典

MUSICAL INSTRUMENTS DESIGN
BART HOPKIN
SEE SHARP PRESS
1996年
物理の面から見た楽器の解説

楽器の仲間(知識の泉 シリーズ 4)
浅井香織 監修
同朋舎出版
1994年
児童向け楽器解説

Making Musical INSTRUMENTS by Hand
Jay Havighurst
Quarry Books
1998年
児童向け手作り楽器

マンモスの骨で作った楽器 旧石器人の生活と芸術
S.N.ビビコフ
築地書館
1985年
研究

横笛の魅力
福原百之助
新芸術社
平成2年
人間国宝の談話

音のアルカディア 角笛の鳴り響くところ
山西龍郎
ありな書房
1996年
論文集

グレゴリオ聖歌セミオロジー 古楽譜記号解読解釈
E.カルディーヌ 著/水嶋良雄 訳
音楽之友社
1997年(6刷)初版1979年
論文集

Essential Dictionary of Orchestration
Dave Black/ Tom Gerou
Alfred Publishing Co., Inc.
1998年


オーケストラ楽器解説ハンドブック

音楽の物理学 音楽をする人たちのための入門書
アレクサンダー・ウッド 著/石井信生 訳
音楽之友社
1993年(13刷)初版1976


物理の面から見た楽器の解説

音楽の手帖 ピアノとピアニスト
青土社
1980年
論文・寄稿集

世界の少年合唱をたずねて
長谷川新一
東京音楽社
昭和47年
読み物

近代音樂回想録
カルヴオコレシ/大田黒元雄 訳
第一書房
昭和15年(初版昭和13年)
読み物

浜松市楽器博物館 所蔵楽器図録 I~IV
浜松市楽器博物館
1995年版
全4冊

山西龍郎著「音のアルカディア~角笛の鳴り響くところ~」より

  

音の社会史

  

社会の<音>象学へ(p77)

楽器制作者:中世以来の伝統的な職人(Handwerker)の形態を保持。
他の産業:19世紀の産業革命以来大変貌。

すなわち手作業とは
1 板金を切り、合わせ目を蝋付けして管を作りトノコを塗って溶かした鉛を流し込み、  腕の力で丸く曲げ、木槌で叩いて広げる、といった作業。
2 ベルトコンベアも細切れの作業工程表もない。
3 足下に転がる部品にも気に留めず、つなぎを来た少人数の職人が一心不乱に一つの物  と格闘する姿。


中世ドイツで楽器作りで名を馳せた街はニュルンベルク
  →独自の冶金技術の開発など。
     →欧州の楽器作りの中心地となった。
→中世の職人社会の理想的な程に完成されていた。

* それ以前のローマ時代にあった管楽器製作法の伝統は絶たれていた。
 (直管喇叭のtuba、背負いホルンのcornu、アルプホルン型のlituus等)

*この街の職匠歌人のハンス・ザックスとそれを登場させたヴァーグナーの「ニュルンベ ルクのマイスタージンガー」を想起せよ。

*弦楽器のミッテンヴァルト、金属山地と言われるエルク山系のマルクノイキルヒェン、 クリンゲンタール、グラスリッツ、プラハ、ヴィーン等楽器匠の街はニュルンベルクに 端発しているケースが多い。

*古楽器の復元演奏の例に中世末期からバロック期の名匠の作品をモデルにしている事
 も。(例=nach/afterEhe、Hans、Hainlein)中でもハース家のトランペットやホルンは銘 器と誉れ高い。

中世都市を支えた同職組合(Zunft、Innung)の中でも石工や楽器匠は手工業の職分制を最近まで保持していた。
 ・少年の無給で住み込みの徒弟(Lehrling)
 ・実質的作業担当者の職人(Gesselle)
 ・店、工房の主で組合に入り市民としてエーレ(公民としての栄誉)を持ち市政にも参  加している、親方(Meister)
どの一軒を取ってもこのミニマムな同心円的職分秩序が支配していた。


修行(Ausbildung)
 →・3カ所以上の街でそれぞれ別の親方の下で修行。(:遍歴、Wanderung)
  ・一つ一つ認定を受ける。
  ・その後初めて自分の街の親方試験を受けられる。
  ・試験に通過したら、市民として権利を享受し行使できる。
    ↓
  ・しかし帰ってきた街も甘くはない。
・厳しく制限された親方の数(その中で、出来たら自分の息子をという考え)
    ↓
  ・どんなマイスターシュトゥック(マスターピース:銘器、本来は親方合格品)も、
  ・新参職人とあればあらゆる嫌がらせがあったと言われる。
*アレクサンダー家もセダン、ミルテンベルク、マインツと移った当座、提出したクラリ ネットをすり替えられたと社史に記するほど。

*この職人時代の苦しい修行の有様は「教養小説(Bildungsroman)」の一情景そのものと している。文学にも青春の通過儀礼風に描かれ続けてきた。


ドイツの楽器匠は特に音楽の生成そのものと深く関わっていた。
 例=ライプツィヒの街とバッハの関係。
   ・oboe da cacciaやcorno da cacciaと呼ばれる狩猟系の新楽器。
・E.T.A.ホフマンの「ウンディーネ」等に始まるロマン派の絶え間なく揺れ動く心情と旋律の対応を可能にした、シュレージエンのブリューメルや、シュテルツェルとベルリンの工房モーリツ等によるヴァルヴの発明。(のちに溶鉱炉の風送り弁(Ventil)からの発想という話)
・ヘッケルやアレクサンダーによるヴァーグナーやR.シュトラウスの求めた音のための楽器の創出。ヴァーグナー・テューバやヘッケルフォン。


1 アレクサンダー家

アレクサンダー家とは、16世紀末「ナント(Nantes)の勅令」(1598年)前後の混乱を避けて、アルデンヌ地方からドイツ領に流れてきた新教徒ユグノーの末裔である。ヴェルとハイム、 ミルテンベルクを経て1780年大聖堂(ドーム)のある街マインツに定住。宗教の方も柔軟なルター派を経てカトリックへ移す。転居の度に店を拡大していった跡も。

・第1の隆盛期(1870年代)
 ドイツが帝国統一を成し遂げた頃。その時期の軍隊の整備とそれに関連した軍楽隊の楽器調達に絡み商圏を拡大。諸連隊(レギメント)の長も多く招かれた1883年の「創業百年祭」では、deutsch(ドイツ的)と形容して帝国緒隆盛と社運を結びつけた。

*アレクサンダー家が地元の宮廷御用達楽器メーカーとして認知された時、社名の前に「ライン地方の」と修飾した。
    →フォークラント地方やザクセンのメーカーに対抗する意味があったとっされ      る。
→実際楽器メーカーとして自立するまでには後継者達にはヴィーンやニュルンベルク、ミュンヘンとならんでザクセンやボヘミア国境のフォークラントに修行に出かけた。(フォークラント地方、現在のチェコのマルクノイキルヘンが楽器製作の中心地なのは前述)

・マルクノイキルヘン自体、17世紀後半「反動宗教改革(ゲーゲンレフォルマティオン)」の弾圧を避けたボヘミア人(主にバイオリン工)が移住して開拓した街。平家の落人部落のような山襞深いところに街が造られたのもその為。
   →ボヘミアは、ヤン・フスの改革やユダヤ人の活動もあって社会的に波乱の多い地    方
  マルクノイキルヘンで木管に次いでホルンを中心とした金管の製作が始まったのは1 8世紀半ば。
  イザーク・エッシェンバッハがその礎を築いた。(イザークはライプツィヒで学ぶ)

<バッハ期>

 ライプツィヒや同じザクセン地方のドレスデンが楽器製作の中心地であった。当時の作品の多さからも伺い知ることが出来る。
     ・ホルンのストップ奏法を発見。
     ・ロータリー・ヴァルヴの改良。
 1840年マルクノイキルヘンには、
     Meister:49人。
    Gesselle、Lehring:100人近く。
   →つまりアレキサンダーがザクセン・フォークラントを意識するのも無理もない

*グラスリーチェ(旧ドイツ領グラスリッツ)
マルクノイキルヘンと同じ得るツ山系のライバル都市
    ・織物と並ぶ産業の中心は楽器製作
   1840年代には 金管マイスター20人
          木管マイスター10人 を擁した。
→300年の歴史を背景に ・1937年:木管でも10万本の輸出を記録。
             ・金管でもケーニヒグレーツ(プラハの北)のチェルヴェと              覇を競うボヘミア=オーストリア・ザクセンの雄。
       →その中で、リードル(Liedle)、ピュヒナー(Püchner)、アドラー(Adler)、
        メーニヒ(Mönich)、カイルヴェルト(Kailwelt)、ヒューラー(Hüller)、        シュライバー(Schleiber)、ヘッケル(Heckel、)コーレルト(Korlert)        と言ったブランドがここで生まれた。
(Möeck , H. : Fünf Jahrhunderte Deutscher Musikinstrumentenbau , 1987 , s24を参照)

→アレクサンダーが1920年代、グラスリッツの代表メーカーの一つである、ボーラン ド&フックス社(Borand & Fucks)の「ライン地方総代理店」となっている。理由は同 様の前述

→しかし第2次世界大戦の結果「フェアトライブンク(ドイツ系住民追放)」数百年の遺産を残したまま ・約13人のマイスターが西独へ逃れて、 ・ヴァルトクライブルク二協同組合を組織し、伝統を保持しようとして努めた結果が、 ・一つに現在のミラフォン(Mirafone)であり、ゲレツリートのマンイル()社も別のその後身の一つ。

 彼らは楽器に最近まで「グラスリッツの」と形容詞が刻印されているのはそうした理由による。(歴史性へのこだわり)

*オットー社(Otto)
   マルクノイキルヘンの文字が今も打たれている。
   旧東独を逃れ旧西独へ亡命。20世紀のドイツの

      

2007年7月29日

ペルシャ湾岸紀行 TBSビデオ
砂漠とらくだの国

 

  
2005年10月30日

 

(ビデオ発売年不明 94年頃?)

 
インド洋 ダウ船 三角帆の帆船
3000キロにおよぶ海洋文化圏
シンドバットの時代から伝わっている
 
ドバイ
ペルシャ湾最大の自由貿易港
インド、アフリカかから集まったダウ船があつまっている。
 
パキスタンやイランから野菜
インドからたまねぎ
ソマリアからヤギ
 
8年続いたイラン・イラク戦争後、ドバイは繁栄している
午後8時でも、港町は活気に満ちている。
ドバイは外国からの出稼ぎ労働者で満ちている。
インド、パキスタン、バングラディッシュ、フィリピンなどから
 
ゴールド・スーク 金市場
かつてドバイは金の密貿易で栄えた
外国人出稼ぎ労働者は金を買ってかえる
 
アラブ首長国連邦 1971年
人口162万人 そのうち8割は外国人
国土、日本の4分の1
所得平均は世界第8位
 
砂漠に四輪駆動車で出て、疾走するとストレス解消になる
砂丘の頂でエンジンを切ると砂のこすれる音が砂丘に響く
「砂が鳴く」という
 
砂漠にも多少の花が咲く。ザハル(花)
 
 
アブダビ
石油がみつかるまでは
ナツメヤシや粘土でできた家が立ち並ぶ漁村にすぎなかった
1960年代 石油採掘の開発が始まると一変
高級車を乗り回し、海水は蒸留して惜し気もなく使う
かつての砂漠の民は冷房の効いたオフィスで仕事している
 
昔はシンプルな生活だった
砂漠のなかでラクダを飼うくらしだった
今ではすっかり変わってしまった
 
 
辺境の漁村 アルジール
ここには暮らしの原型が残されている
飲料水はタンクを積んだ車から買う
買うのも売るのもインド人
U.A.E.では額に汗をして働くのはインド人ばかり
 
石油採掘が始まる前のかつてのアラビア人
海では真珠をとり、ナツメヤシを食べていた
砂漠ではラクダを飼って暮らしていた
木と泥の家で暮らした
 
日本の養殖真珠の登場で真珠とりの歴史は終わった
真珠とりで生計が立たなくなった男たちはクウェートに出稼ぎに行った
 
チームワークで真珠を収穫する
今では十分な年金のもと、政府が建てた老人ホームで暮らしている
 
昔の男は強かった
海に潜って漁をするのだから
今の若者は車を乗り回し、大学まで学費無料で行けるのだから
 
U.A.Eはわずか半世紀で世界有数の裕福な国家となった
 
 
砂漠でラクダとともに暮らす人々
アラブ人ではなく、バングラディッシュやイランから来た貧しい人々
砂漠でも雨は降る
 
 
ラクダレース
U.A.Eでもっとも人気のあるスポーツ
1周10キロ
7〜12歳までの外国生まれの少年が騎手
王族・豪族が観戦に訪れる
豊かさ故に、乗る側から見る側に変わった
賭博ではない(イスラムの法律によって禁止
速いラクダを持つことはステータス
少年たちの給料は月2万円程度
そのほとんどが国に送金する
 
並走するバスにオーナーたちがのり、
騎手の子供に「ムチをいれろ」と無線で指示
少年たちはレースで勝てば賞金がでる
オーナーは高く王族たちに売ろうとする
 
オーナーは裕福な知識階級
少年騎手や飼育係を雇う
 
飼育係や少年は外国人
出稼ぎ労働者
家へ送金する
 
 
ラス アル ハイマ港
18世紀 ペルシャ湾を荒し回った海賊の本拠地
現在では漁船もなくモーターボートばかり
もっともイランに近い港
イランから2時間程度の距離
時速80キロは加速できる強力な日本製の船外機をつける
イランで禁止されている商品を海路で運送し商売している
 
イランの偵察艇の目をかいくぐって密貿易をする
イランからの持ち出しが禁じられているペルシャ絨毯
イランの偵察艇は機銃で密貿易船を撃つので見つかると命の危険にかかわる
 
イランに持ち込むのは
アメリカのタバコ、日本のビデオテープや精密機器など
イランに持ち込みが禁止されている
 
密貿易に従事しているのは若者ばかり
イラン・イラク戦争に従軍したものばかり
イランでは音楽をかけて踊りを踊ることが禁止されている
U.A.E側の港でなら踊れる
 
なぜ、この仕事をするのか
 ——生きるため
戦争で死んだ弟をどう思うか
 ——戦争なんてバカげてる。みじめな死に方だよ
 
 
ドバイ
中近東とアジアが混じりあっている国際都市
石油によるオイルマネーが育てた不思議な街
かつてインド洋をこえて運ばれた