2008年1月31日

論旨の展開をスムーズに読ませるには、ひとつの論旨で九〇〇~千文字程度が望ましい。ひとつの段落を百五、六十文字の間で生めた文章が一番読みやすい。

大隈秀夫 「文章の実習」

私は小説の文章を、そんなに重視してゐない。もっと率直に、いひたいことが通じる文章であればよろしい。それでたくさんだと考えてゐる。文章に味の出るのは、その人間に味が出ることであり、単なる文章のうまみは、いわばアクセサリーの程度である。

丹羽文雄 「小説作法」

人が上手に話しをしようと思ったならば、その場の空気に合わない談話は人に嫌われる。人が上手に話しをしようと思ったならば、その場の空気に調和したような話し方をしなければならぬ。

波多野完治 「文章心理学入門」より「レトリック」

形容詞は、読者のために使うのであって、筆者が自分のために、すなわち、自分の文章を飾るために使うべきではない、ということになる。読む人によりよく事態を分からせるために、印象を明確にするために使うのだから、この形容詞がうまく成功していれば、結果としてその文章は美しくもなり、ヴィヴィッドにもなるだろう。

入江得郎