聴いたことも、考え、そしてまとめないかぎり、シェンツァ(サイエンス)とはならない(マキアヴェッリ) 思考、知識は第一次的である。その同種を集め、整理し、相互に関連づけると第二次的な思考、情報が生まれる。これをさらに同種のものの間で昇華させると第三次的となる(外山滋比古) などなど考えつつ、読書メモ。
2007年7月31日
メトロポリタン美術館
1872年創立
コーディネーター ナンシーリー
NHK教育 製作 のビデオ
テーマ 各部門の名品のトップ3を紹介
世界経済の中心地 ニューヨーク マンハッタン
南北に連なるセントラルパーク
その一角 5番街に面する
200万点以上の所蔵品
1万7千人以上の来場者
正面玄関を入ると吹き抜けのロビー
このロビーを中心に配置される展示室
美の百科事典とあだ名される
展示をくまなく見て回るには10日はかかる
17の展示室は1F、2F、B1に別れている
*2F ヨーロッパ絵画部門
主に19世紀以前の絵画部門
ロビーを抜けたところにある階段をのぼる
12世紀〜19世紀まで2300点
エベレット フェイ 主任学芸員
ヨーロッパで初めて油絵の具を使った絵画を展示
油絵の具の登場は技術革新だった
ヤン ファン エイク
キリストの磔刑
折り畳み式の祭壇画
ボッティチェッリ
聖ヒエロンイムスの聖体拝領
ベラスケス
ファン・デ・パレーハ
吹き抜けに面した2Fバルコニー
*アジア部門
日本 中国 カンボジアなどを網羅
およそ6万点
ジェームス ワット 主任学芸員
祭祀器一式
中国紀元前20〜10世紀初頭
祭壇がセットになった
出土したとき5つの器が祭壇に乗ったまま出てきた
古代中国の儀式を想像させる
歴史的価値もさることながら、美術的価値も高い
インド
仏像立像
尾形光琳
八橋図 江戸時代 屏風
*古代オリエント部門
メインロビー左
ジョアン アルーツ 学芸員
アッシリアの偉大な王の遺産
アッシリア・レリーフの部屋
人獣一体の守護神が悪霊が宮殿に入らないように守っていた
人頭有翼の獅子
鳥頭有翼神
BC883〜859頃
鳥形のデーモン、猪、有翼龍の飾りのあるシャフト付き斧
アフガニスタン BC30世紀〜BC20世紀
水差を捧げる雄牛
イラン
BC3100〜2900頃
*写真部門
印象派部門につながる廊下がスペース
メストラル
エンジェル オブ ザ パッション
1850年頃
ウォーカー エバンス
アラバマの農夫
エドワード スタイケン
フラット アイアン
*素描版画部門
ミケランジェロ
リビアの巫女のための習作
赤いチョーク 男性モデルでデッサンした
完成品は女性で描いてある
人体スケッチ
ゴヤ
巨人
銅版画
1850年
ゴッホ
療養所の廊下
素描に色を付けた珍しい作品
*ヨーロッパ絵画部門19世紀
印象派が充実
学芸員
ゲアリー ティンテーロ
ゴッホ
糸杉のある麦畑
古典的なテーマだがゴッホならではの鮮烈のあ筆使いがわかる
ドガ
ダンス教室
モネ
サンタドレスの庭園
*イスラム部門 改装中
ダニエル ウォーカー学芸員
シーリーの絨毯
イラン
イランで作られた写本などで見られる模様
鳥や花、猫、鹿などの模様が見られる
火鉢
エジプト
13世紀
スレイマン壮麗王の紋章
トルコ
*レイマン・パビリオン
セントラルパークに突き出た8角形の建物
観葉植物とベンチが並ぶ
ガラス屋根から日光が注ぐ
レイマンコレクション
富豪レイマン氏の所蔵品
リビングを再現
ディタ アモリー学芸員
ルノワール
ピアノに向かう2人の少女
ジョバンニ ディ パオロ
天地創造と楽園追放
アングル
ブロイ公妃
メトロポリタンの正面玄関を経て1F展示
*ギリシアローマ部門
3万5千点
展示2500点
ジョアン マーティンズ
ギリシアのつぼは実際に生活に使われた
ガク形クラテル
トロイア戦争の場面を描いたつぼ
ゼウスが息子サルペドンのもとに眠りと死の神を送る場面
クーロス(若者の象) 石像
ギリシア
ボスコレアーレの別荘の寝室
BC30〜40
*アフリカ オセアニア 南北アメリカ部門
11000点所蔵
アリサ ラガマ学芸員
遺骨箱守護者の頭部像
彫刻品
20世紀初頭のアバンギャルドの画家たちに影響を与えた
ペンダントの仮面
ナイジェリア
女性像のある椅子
コンゴ
*ヨーロッパ彫刻・装飾部門
15世紀以降の彫刻、家具、タペストリー
6万点
イーアン ワードロッパー学芸員
アントニオ カノーバ
メドゥーサの頭を持つペルセウス
イタリア
大理石をつややかに見せる方法をカノーバは知っていた
カーリントン・パークの部屋
イギリス
グッビオ宮殿の書斎
イタリア
ルネサンス
物が入っているように見える「だまし絵 寄木細工」
*アメリカンウィング部門
2Fまで吹き抜けの広い室内庭園
アメリカの作家、もしくはアメリカを題材
モリス メクサー学芸員
フランク ロイド ライト
リトルハウスの居間
ライトは日本通でありアンドンなど
ジョージ ビンガム
ミズーリ川を下る毛皮商人
絵画
ステンドグラス
ルイス C ティファニー
秋の風景
*楽器部門
5000点を所蔵
ケネス ムアー学芸員
1675年イタリア製
ハープシコード
立奏用のハープシコード
ギリシア神話のレリーフと彫刻
クリストフォリ
ピアノ
世界最古のピアノ
琵琶
中国
15世紀
象牙細工で飾られている
*武器・甲冑部門
15000点所蔵
スチュワート ピアー学芸員
エリザベス女王に使えたカンバランド伯爵の甲冑
交換部品付き甲冑
1580年〜80年
美術的価値も高い
16世紀最新のモードを取り入れている
日本の鎧兜
14世紀
足利尊氏のためのもの
サミュエル コルト
拳銃
西部開拓が進む19世紀の拳銃
ジョージ ワシントンの肖像が金で入っている
ハドソン川沿いに建つ分館 クロイスターズ
*中世部門
フランス・スペインの古い修道院を移築
4つの回廊
ピーター バーネット主任学芸員
ピレネー山中のクサの回廊
回廊:噴水と庭、屋根付きの廊下で構成
クロイスターは回廊の意味
一角獣のタペストリー
1500年頃
ロベール カンパン
受胎告知
三連祭壇画
*この絵のために1部屋がある
屋上
*モダンアート部門
10000点以上のコレクション
ウィリアム リーバーマン
ピカソ
ガートルード スタインの肖像
ピカソ
アルルカン
1901年
マチス
金蓮花のあるダンス
地下
*服飾部門
年に数回特別展が開かれる
常設展示を持たない
主任学芸員 ハロルド コーダ
宮中服
イギリス
金糸のレースが縫い付けられた
C F ワース
イブニングドレス
20世紀
イブサンンローラン
デイドレス
1965年
*エジプト部門
36000点所蔵
エジプトの神殿
デンドゥールの神殿
BC15世紀
アスワンハイダム建設によって水没が確定したとき移築
供物を運ぶ女性像
BC1900年頃
王妃頭部断片
BC1300年頃
音楽関連書旧蔵
MUSICAL INSTRUMENTS OF THE WORLD
Ruth Midgley 編
Sterling Publishing Co., Inc./U.S.
1997年(原版は1976年、英Paddington Press Ltd.)
図録と解説
MUSICAL INSTRUMENTS A Worldwide Survey of Traditional Music-Making
Lucie Rault
Thomas & Hudson /UK
写真集
CATALOGUE OF MUSIC INSTRUMENTS IN THE VICTORIA AND ALBERT MUSDEUM
Schott & Baines
1998年
V&A博物館カタログ
鍵盤楽器はハワード・スコット、非鍵盤楽器はアンソニー・ベインズ解説
新しい楽器額体系
日本吹奏楽学会 編
日本吹奏楽学会
1996年
楽器図録と基礎知識
楽器編成応用概論
Henri Bsser 著/池内友次郎 訳
全音楽譜出版社
1983年
管弦楽法
楽器図説
菅原明朗 著
音楽之友社
1998年(13刷)初版1950年「楽器図鑑」
図録と解説
WHO'S WHO in MUSIC and Musicians' International Doirectory
BURKE'S PEERAGE LIMITED
1969年(第5版)初版1935年
国際音楽家名鑑
Bassoon Reed Making
Mark Popkin and Loren Glickman
The Instrumentalist Company
1987年
ファゴットのリード製作法
The Paris Conserbatoire and the Contest solos for Bassoon
Kristine Klopfenstein Fletcher
INDIANA UNIVERSITY PRESS
1988年
パリ音楽院のファゴットソロ作品目録
音楽辞典 楽語
音楽之友社
昭和50年(27刷)初版昭和29年
辞典
音樂辞典
小泉洽
東京堂出版
昭和49年(29刷)初版昭和23年
辞典
MUSICAL INSTRUMENTS DESIGN
BART HOPKIN
SEE SHARP PRESS
1996年
物理の面から見た楽器の解説
楽器の仲間(知識の泉 シリーズ 4)
浅井香織 監修
同朋舎出版
1994年
児童向け楽器解説
Making Musical INSTRUMENTS by Hand
Jay Havighurst
Quarry Books
1998年
児童向け手作り楽器
マンモスの骨で作った楽器 旧石器人の生活と芸術
S.N.ビビコフ
築地書館
1985年
研究
横笛の魅力
福原百之助
新芸術社
平成2年
人間国宝の談話
音のアルカディア 角笛の鳴り響くところ
山西龍郎
ありな書房
1996年
論文集
グレゴリオ聖歌セミオロジー 古楽譜記号解読解釈
E.カルディーヌ 著/水嶋良雄 訳
音楽之友社
1997年(6刷)初版1979年
論文集
Essential Dictionary of Orchestration
Dave Black/ Tom Gerou
Alfred Publishing Co., Inc.
1998年
オーケストラ楽器解説ハンドブック
音楽の物理学 音楽をする人たちのための入門書
アレクサンダー・ウッド 著/石井信生 訳
音楽之友社
1993年(13刷)初版1976
物理の面から見た楽器の解説
音楽の手帖 ピアノとピアニスト
青土社
1980年
論文・寄稿集
世界の少年合唱をたずねて
長谷川新一
東京音楽社
昭和47年
読み物
近代音樂回想録
カルヴオコレシ/大田黒元雄 訳
第一書房
昭和15年(初版昭和13年)
読み物
浜松市楽器博物館 所蔵楽器図録 I~IV
浜松市楽器博物館
1995年版
全4冊
山西龍郎著「音のアルカディア~角笛の鳴り響くところ~」より
音の社会史
社会の<音>象学へ(p77)
楽器制作者:中世以来の伝統的な職人(Handwerker)の形態を保持。
他の産業:19世紀の産業革命以来大変貌。
すなわち手作業とは
1 板金を切り、合わせ目を蝋付けして管を作りトノコを塗って溶かした鉛を流し込み、 腕の力で丸く曲げ、木槌で叩いて広げる、といった作業。
2 ベルトコンベアも細切れの作業工程表もない。
3 足下に転がる部品にも気に留めず、つなぎを来た少人数の職人が一心不乱に一つの物 と格闘する姿。
中世ドイツで楽器作りで名を馳せた街はニュルンベルク
→独自の冶金技術の開発など。
→欧州の楽器作りの中心地となった。
→中世の職人社会の理想的な程に完成されていた。
* それ以前のローマ時代にあった管楽器製作法の伝統は絶たれていた。
(直管喇叭のtuba、背負いホルンのcornu、アルプホルン型のlituus等)
*この街の職匠歌人のハンス・ザックスとそれを登場させたヴァーグナーの「ニュルンベ ルクのマイスタージンガー」を想起せよ。
*弦楽器のミッテンヴァルト、金属山地と言われるエルク山系のマルクノイキルヒェン、 クリンゲンタール、グラスリッツ、プラハ、ヴィーン等楽器匠の街はニュルンベルクに 端発しているケースが多い。
*古楽器の復元演奏の例に中世末期からバロック期の名匠の作品をモデルにしている事
も。(例=nach/afterEhe、Hans、Hainlein)中でもハース家のトランペットやホルンは銘 器と誉れ高い。
中世都市を支えた同職組合(Zunft、Innung)の中でも石工や楽器匠は手工業の職分制を最近まで保持していた。
・少年の無給で住み込みの徒弟(Lehrling)
・実質的作業担当者の職人(Gesselle)
・店、工房の主で組合に入り市民としてエーレ(公民としての栄誉)を持ち市政にも参 加している、親方(Meister)
どの一軒を取ってもこのミニマムな同心円的職分秩序が支配していた。
修行(Ausbildung)
→・3カ所以上の街でそれぞれ別の親方の下で修行。(:遍歴、Wanderung)
・一つ一つ認定を受ける。
・その後初めて自分の街の親方試験を受けられる。
・試験に通過したら、市民として権利を享受し行使できる。
↓
・しかし帰ってきた街も甘くはない。
・厳しく制限された親方の数(その中で、出来たら自分の息子をという考え)
↓
・どんなマイスターシュトゥック(マスターピース:銘器、本来は親方合格品)も、
・新参職人とあればあらゆる嫌がらせがあったと言われる。
*アレクサンダー家もセダン、ミルテンベルク、マインツと移った当座、提出したクラリ ネットをすり替えられたと社史に記するほど。
*この職人時代の苦しい修行の有様は「教養小説(Bildungsroman)」の一情景そのものと している。文学にも青春の通過儀礼風に描かれ続けてきた。
ドイツの楽器匠は特に音楽の生成そのものと深く関わっていた。
例=ライプツィヒの街とバッハの関係。
・oboe da cacciaやcorno da cacciaと呼ばれる狩猟系の新楽器。
・E.T.A.ホフマンの「ウンディーネ」等に始まるロマン派の絶え間なく揺れ動く心情と旋律の対応を可能にした、シュレージエンのブリューメルや、シュテルツェルとベルリンの工房モーリツ等によるヴァルヴの発明。(のちに溶鉱炉の風送り弁(Ventil)からの発想という話)
・ヘッケルやアレクサンダーによるヴァーグナーやR.シュトラウスの求めた音のための楽器の創出。ヴァーグナー・テューバやヘッケルフォン。
1 アレクサンダー家
アレクサンダー家とは、16世紀末「ナント(Nantes)の勅令」(1598年)前後の混乱を避けて、アルデンヌ地方からドイツ領に流れてきた新教徒ユグノーの末裔である。ヴェルとハイム、 ミルテンベルクを経て1780年大聖堂(ドーム)のある街マインツに定住。宗教の方も柔軟なルター派を経てカトリックへ移す。転居の度に店を拡大していった跡も。
・第1の隆盛期(1870年代)
ドイツが帝国統一を成し遂げた頃。その時期の軍隊の整備とそれに関連した軍楽隊の楽器調達に絡み商圏を拡大。諸連隊(レギメント)の長も多く招かれた1883年の「創業百年祭」では、deutsch(ドイツ的)と形容して帝国緒隆盛と社運を結びつけた。
*アレクサンダー家が地元の宮廷御用達楽器メーカーとして認知された時、社名の前に「ライン地方の」と修飾した。
→フォークラント地方やザクセンのメーカーに対抗する意味があったとっされ る。
→実際楽器メーカーとして自立するまでには後継者達にはヴィーンやニュルンベルク、ミュンヘンとならんでザクセンやボヘミア国境のフォークラントに修行に出かけた。(フォークラント地方、現在のチェコのマルクノイキルヘンが楽器製作の中心地なのは前述)
・マルクノイキルヘン自体、17世紀後半「反動宗教改革(ゲーゲンレフォルマティオン)」の弾圧を避けたボヘミア人(主にバイオリン工)が移住して開拓した街。平家の落人部落のような山襞深いところに街が造られたのもその為。
→ボヘミアは、ヤン・フスの改革やユダヤ人の活動もあって社会的に波乱の多い地 方
マルクノイキルヘンで木管に次いでホルンを中心とした金管の製作が始まったのは1 8世紀半ば。
イザーク・エッシェンバッハがその礎を築いた。(イザークはライプツィヒで学ぶ)
<バッハ期>
ライプツィヒや同じザクセン地方のドレスデンが楽器製作の中心地であった。当時の作品の多さからも伺い知ることが出来る。
・ホルンのストップ奏法を発見。
・ロータリー・ヴァルヴの改良。
1840年マルクノイキルヘンには、
Meister:49人。
Gesselle、Lehring:100人近く。
→つまりアレキサンダーがザクセン・フォークラントを意識するのも無理もない
*グラスリーチェ(旧ドイツ領グラスリッツ)
マルクノイキルヘンと同じ得るツ山系のライバル都市
・織物と並ぶ産業の中心は楽器製作
1840年代には 金管マイスター20人
木管マイスター10人 を擁した。
→300年の歴史を背景に ・1937年:木管でも10万本の輸出を記録。
・金管でもケーニヒグレーツ(プラハの北)のチェルヴェと 覇を競うボヘミア=オーストリア・ザクセンの雄。
→その中で、リードル(Liedle)、ピュヒナー(Püchner)、アドラー(Adler)、
メーニヒ(Mönich)、カイルヴェルト(Kailwelt)、ヒューラー(Hüller)、 シュライバー(Schleiber)、ヘッケル(Heckel、)コーレルト(Korlert) と言ったブランドがここで生まれた。
(Möeck , H. : Fünf Jahrhunderte Deutscher Musikinstrumentenbau , 1987 , s24を参照)
→アレクサンダーが1920年代、グラスリッツの代表メーカーの一つである、ボーラン ド&フックス社(Borand & Fucks)の「ライン地方総代理店」となっている。理由は同 様の前述
→しかし第2次世界大戦の結果「フェアトライブンク(ドイツ系住民追放)」数百年の遺産を残したまま ・約13人のマイスターが西独へ逃れて、 ・ヴァルトクライブルク二協同組合を組織し、伝統を保持しようとして努めた結果が、 ・一つに現在のミラフォン(Mirafone)であり、ゲレツリートのマンイル()社も別のその後身の一つ。
彼らは楽器に最近まで「グラスリッツの」と形容詞が刻印されているのはそうした理由による。(歴史性へのこだわり)
*オットー社(Otto)
マルクノイキルヘンの文字が今も打たれている。
旧東独を逃れ旧西独へ亡命。20世紀のドイツの