2007年11月19日

君は君なりに私の同類ではないのか? 何もかも失敗してしまったので恥じているのか? かまうことはない、ちょうど私も同じ目に逢っているのだ。私はひとりだと盛んに吠えて気を紛らす。来なさい。二匹でいる方が楽しい。
 
私は鼻先が入るくらいの穴を掘り、土地だけが聞いてくれるよう、私の横に居るもの、私の上にいるものには聞かれないよう、鼻先を突っ込んだまま歌い、朗唱したのである。
 
「ある老犬の回想」より 「カフカ短編集」P307