人物論のかき方はむつかしい。大宅壮一の名言がある。「からかい、やっつけるのはよいが、斬り捨てにしてはいけない」ということばである。大宅は具体的にはこう言った。
「人物論を書く場合、いちばんよいのは、七誉めて、三けなすことだ。八誉めて、二けなすとどうしてもちょうちん記事になってしまう。六誉めて四けなすと、読者のほうにいや味が先に立ち、何か意図するものがあって、人身攻撃をしているのではないかとさえ思われる。この間の調味料の配合がむつかしい。これができるようになったら、人物
論のライターとしては一人前だ」
大隈秀夫「文章の実習」P189